- 発行日 :
- 自治体名 : 福島県昭和村
- 広報紙名 : 広報しょうわ 令和7年11月号
菅家 博昭(大岐)
◆韃靼蕎麦(だったんそば)の切り花
2025年、300品種ほどの切り花を栽培・生産・出荷している。昭和花き研究会を解散した翌年、2015年から、かすみ草栽培面積を半分に減らし、露地、露地雨よけ等で多年草中心に1種類を5株から10株の栽培、一年草は春蒔きでかすみ草パイプハウス等を利用し露地雨よけ(開花時期に屋根ビニルを被覆)の栽培である。
2010年ころから都内の青山フラワーマーケットの社長・井上英明さんから、「卸売市場に出荷されていない切り花の生産」を強く要望された。井上さんとは2000年に創立されたJFMA(日本フローラルマーケティング協会)でお会いしてから25年のつきあいになっている。井上さんは社長室の深見富雄さんと2人で2025年6月17日にはじめて来村された。私の岩下の露地草花圃場等を案内し、佐倉道の駅苧麻庵で食事をした。
2025年10月14日、都内にてフラワーサミットが開催された。主催は花の国日本協議会。私はその理事で、この日の分科会2にパネラーとして登壇し司会の井上さんの質問に応えた。
2019年から草花類の小束を多種混在した「青山アソート」の納品をはじめた。これは同社に転職した水野澄人さんの要請によるもので井上さんの要望をかたちにしたものだった。農協出荷で、東日本板橋花き(花市場)を通して青山フラワーマーケットの都内各店にエルフバケット1箱単位で納品する。今年で7年目になっている。
井上さんはサミットのなかで、自ら花の栽培を開始し自社店舗で販売する計画を公表した。花屋さんが花の生産に入っていく事例が増えている。それは画一化した花しか卸市場に入荷しないためだ。
一方、2022年から都内仲卸の中央花卉の店頭で、私の露地草花を中心として「ナチュラルセレクション(選別しない切り花)」の販売も創発した。同社担当の中谷隆敏さんが早朝4時からの販売経過を克明に同夜には報告が届く。売れなかった花、売れゆきがよい植物等々、花の仕入れの現場の動きと生花店の要望が良くわかるようになった。
2022年9月からの月金、2023年は4月から10月まで月金、2024年からは9月からの金曜販売で今年2025年と5年目になっている。こちらの花の準備には最低1日の終日を費やしている。こちらも「卸市場では売っていない植物」である。
2025年10月17日(金)の中央花卉店頭でのナチュラルセレクションの報告書が夜に電子メールで届いた。中谷さんは以下のように店頭での物語を伝えてくれた。これが今年いちばんの出来事となった。長い報告文の韃靼蕎麦(だったんそば)のところを記す。
「午前4時、菅家さんから納品された花類を12桶(バケツ)に陳列し販売開始。それが7時には7桶になる。5桶分が売れていった。だったんそばを2束抱える仕入れの女性に声掛けると次のようなことを話された『こんなかわいい商材が買えるとは、って感じです。見ていて、いやされますね』と嬉しそうにレジ待ちをされていました。その後、店頭の30cmのマリーゴールドは完売」
韃靼蕎麦は今年はじめて栽培した。モンゴルの蕎麦で、少量が国内でも栽培されている。8月13日にタネを蒔き、10月から花・実で30〜80cmで切り束ね販売している。それは青山アソートとナチュラルセレクションでの納品。少量で栽培も50株ほどである。
