健康 からだと向き合う

■健康診断・がん検診、受けていますか?
笠間市立病院医師 杉山遥夏(すぎやまはるか)

忙しい毎日の中で、健康診断やがん検診の予約を取り、結果を見て医療機関を受診するのは、正直なところ億劫なものです。医師である私自身も、「受けなければ」と思いながら、つい後回しにしてしまうことがあります。
意外に思うかもしれませんが、日本の健康診断受診率は60~70%にとどまり、国民の30~40%は受診していません。健診で「要精密検査」と判定されても、実際に受診していない人が約30%いるとされています。がん検診の受診率はさらに低く、50%弱が現状です。

(1)健診を受けるまで
将来の利益よりも今の楽さや都合を優先してしまう傾向が誰しもあります。行動経済学では、このことを「現在バイアス」と呼びます。健康診断やがん検診は「将来の病気を防ぐため」の行動であり、どうしても後回しにされがちです。
しかし、健診には「今の自分」にとってのメリットもあります。体重や血圧、コレステロール、血糖値などを年に一度確認することで、生活習慣を見直すきっかけや、気になる症状を医師に相談する機会にもなります。

(2)結果が届いたら
結果を見なければ、健診で得られた大切な情報が十分に生かされません。少し勇気がいるかもしれませんが、しっかり結果を確認しましょう。
結果の中でまず注目してほしいのは、総合評価やコメント欄です。「異常なし」から「要治療」までの判定が記載されています。「要経過観察」「要再検査」と書かれていても、すぐに病気になるという意味ではありませんが、「このまま放置しないでください」というサインです。また、前年の結果と比べてみることも大切です。体重や血圧、数値の変化を見ることで、今の生活習慣を振り返る良い機会になります。
異常を指摘された項目や、気になる点があれば、結果用紙を持って、かかりつけ医や近くの医療機関に相談しましょう。

(3)がん検診のすすめ
日本では、2人に1人が生涯で「がん」と診断され、5人に1人が「がん」で亡くなっています。がん患者の約3人に1人は、働く世代の方々です。がん検診では、胃がん、乳がん、子宮頸がん、大腸がんなどが早期に発見されることが知られています。早期に見つかったがんは治療が比較的容易で、種類によっては80~90%が治るとも言われています。検診の対象年齢は40歳以上が多いですが、女性では、子宮頸がんは20歳から、乳がんは30歳から推奨されています。
一方で、がん検診には検査による身体的負担や、精密検査となった際の不安、がんでないのに異常と判定される場合などの側面もあります。検査の特徴を理解したうえで、受けるかどうか迷ったときは、医師に相談してみるとよいでしょう。笠間市では、がん検診の助成制度があり、種類や年齢により無料または五百円から数千円程度で受診できます。

明日の自分が、そして大切な人が、元気に過ごすために、まずは一歩踏み出してみませんか。

問合せ:市立病院
【電話】0296-77-0034