- 発行日 :
- 自治体名 : 栃木県大田原市
- 広報紙名 : 広報おおたわら 令和7年5月号(No.1334)
■淡島講(あわしまこう)
今回は民間信仰の一つである淡島講関係の資料を紹介します。淡島信仰は、和歌山県の加太淡嶋(かだあわしま)神社を本社とし、その祭神である少彦名命(すくなひこなのみこと)を崇拝する信仰です。女性の病気回復や安産・子授けなどに霊験あらたかであると伝えられています。江戸時代、淡島願人(あわしまがんにん)と呼ばれる人々が、淡島様の入った厨子(ずし)を背負って諸国を巡回し、その縁起功徳を説いたことにより、女性を救済する神様として全国に信仰が広まったとされています。
当館には湯津上西之根(にしのね)地区の淡島講で使用されていた掛軸と、昭和41年から昭和48年までの「淡島講諸掛帳(あわしまこうしょがかりちょう)」が収蔵されています。講の進め方は十九夜講などと同様、当番の家に集まり、淡島様の掛軸を掲げて「淡島和讃(あわしまわさん)」を唱和し、その後は会食を楽しんだようです。「淡島講諸掛帳」には、会食の「ごちそう」を作るための食材と金額が記されています。現在は、当番の家に集まって行うことはなくなりました。しかし、湯津上の笠石神社の境内には淡島様を祀(まつ)った小さな祠(ほこら)があり、地区の女性たちがお参りをして、宮司さんからお札をいただいているそうです。
問合せ:大田原市歴史民俗資料館
【電話】0287‒98‒2151