- 発行日 :
- 自治体名 : 埼玉県行田市
- 広報紙名 : 市報ぎょうだ 令和7年6月号No.948
■ビットラン株式会社
▼ニッチなニーズに特化した技術力
私たちが市販のカメラで漆黒の宇宙に光り輝く星や色鮮やかな星雲などを撮影しようとしてもうまく撮影することはできません。今月は、そんな美しい天体を撮影することのできるカメラを開発・製造しているビットラン株式会社を紹介します。
同社は昭和52(1977)年に企業などから特定のシステムやソフトウェアの開発を受託する会社として創業しました。その後、コンピューターを開発する際に使用するデバッグツール(電子基板で試験を行って不具合を見つけるツール)の開発・販売を行っていましたが、各メーカーなどの安価なデバッグツールの普及に伴い事業を縮小。電子機器へのノウハウを生かして、平成7(1995)年から新たに天体用カメラの開発・製造へと事業を拡大しました。
同社が開発・製造するカメラはイメージセンサーを冷却してノイズを低減することで、天体撮影や科学研究などの長時間露光が必要な分野でもきれいに撮影することができる冷却カメラです。代表取締役の松岡さんによると「ニッチ(狭い分野や隙間の意)な事業なので、競合がいないくらい市場が小さい」とのこと。しかしながら、こうした同社の高い技術力で作られるカメラが天文学や科学研究などを陰から支えています。
また、社員7人と少数精鋭の技術者集団で、迅速な判断と対応の他、機器の開発や実験などもスピーディーに行うことができ、顧客からのニーズに柔軟に対応しています。こうした同社の対応力や技術力が評価され、現在は東京大学理学系研究科天文教育研究センターが進めているTAO計画(赤外望遠鏡をチリに建設)にも携っています。この計画は銀河宇宙の起源や惑星物質の起源を探るもので、その調査・研究に同社の天体用カメラが使用されるそうです。さらに、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が進めるスペースデブリ(宇宙ゴミ)の観測にも同社のカメラが使用される予定です。
今後の目標について、松岡さんは「今までの事業を継続していきながらも、広く浅い分野ではなく、ニッチで狭く深い分野に力を入れていきたい」と語ってくれました。同社は顧客第一の精神の下、限られたニーズの中で社員の持つ技術力を生かした優れた製品を開発、提供し、これからも新たな科学の発見を陰から支え続けていきます。
▽会社プロフィール
代表取締役 松岡 利明
事業内容:冷却カメラシステム、マイクロプロセッサ開発支援装置、電子応用機器の開発・製造および販売
所在地…持田2213
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