スポーツ はつらつところっこ

■車いすテニス日本代表 髙室 冴綺(たかむろ さき)さん(市内在住)
フラワーヒルにあるテニスコートで日々練習に励む。オフの日はグランエミオ所沢でショッピングをしたり、自宅でひたすらゲームをしているという髙室さん。
所沢市ゆかりのアスリートに認定されている田中愛美(たなかまなみ)選手とは大の仲良し!2人で旅行にも行くほど。

○憧れを力に 背中を追いかけて広がった世界
「パコーン!」という快音とともに相手コートに鋭いショットを決めるのは、車いすテニス日本代表の高室冴綺(たかむろさき)さんだ。
たゆまぬ努力を積み重ね、2017年から日本代表として活躍し続けている髙室さん。だが、これまでの道のりは決して平坦なものではなかった。

鬼ごっこで走り回ったり、体を動かして遊ぶのが昔から好きだったという髙室さん。高校では運動部に入部し、毎日楽しく部活に励んでいた。
ある日、いつものように部活をしていると、ふと足の痛みが気になった。そのときは高校1年生ということもあり、軽い成長痛程度にしか思っていなかったが、足の痛みは日に日に増していき、とうとう歩くことができなくなってしまう。この病気が原因で、車いすでの生活を余儀なくされた。
自由に動けなくなってしまったことで、人に会いたくないという思いが次第に強くなり、気づけば家から出ない日も多くなっていった。
「このままじゃだめだ」と思い、東京で開催されたパラスポーツ体験イベントに参加し、ここで初めて車いすスポーツの存在を知る。元々テニスに憧れがあった髙室さんは、真っ先に車いすテニスが体験できるブースへ向かった。
「楽しい!」。率直にそう感じた髙室さんは、時間を忘れて楽しんだ。この体験会をきっかけに、髙室さんの車いすテニス人生が大きく動き始める。
車いすテニスができる施設でアルバイトを始め、終業後は毎日のように練習に励み、見る見るうちに上達していった。
2014年、髙室さんはここで初めて大会に挑む。しかし、結果は初戦敗退。その悔しさをバネに練習を重ねるも、次の大会でも初戦敗退。車いすテニスの厳しさを痛感した。
思うような結果が出ず、競技を続けるか悩んでいたとき、国際大会を観戦する機会があった。そこで世界を相手に戦う上地結衣(かみじゆい)選手のプレーを観て、同い年で、自分よりも体の小さい上地選手がパワフルに戦っている姿に衝撃を受けた。それと同時に、「追いつきたい」「同じ舞台に立ちたい」という思いがこみ上げ、そこからは自分に厳しく、来る日も来る日も猛練習を重ねた。そして2017年、ついに強化指定選手として選ばれ、日の丸を背負って戦うメンバーとして招集された。必死に追いかけていた憧れの選手に、ようやく近づくことができた。
「市民の方々の応援が、いつも力となり、自信に繋がっています」と、市民に感謝の思いを語ってくれた。次は6月にパリで行われる全仏オープンでベスト8入りを目指す髙室さん。所沢からみんなでエールを送りましょう!
(取材:関)