- 発行日 :
- 自治体名 : 埼玉県所沢市
- 広報紙名 : 広報ところざわ 2025年9月号 No.1242
■デフテニス日本代表 鈴木 梨子(すずき りこ)さん(市内在住)
生まれつき低音や高音が聞き取りにくい「感音性(かんおんせい)難聴」という障害がある、NTT都市開発に所属するデフアスリート。
航空記念公園内の壁打ちが好きという鈴木さん。他の利用者と会話が弾み、所沢の人の温かさを感じられるからだと、所沢愛を語ってくれた。
○音のない世界の熱き戦いが、まもなく始まる
オリンピックやパラリンピックと同様、4年に1度開催している「デフリンピック」が今年11月、東京で開催される。
デフリンピックとは、聴覚に障害のある選手たちが競い合う国際大会。そんな世界最高峰の舞台でメダル獲得を目指すのは、デフテニス日本代表の鈴木梨子(すずきりこ)さんだ。
テニスとの出会いは、小学2年生のとき。テニススクールに通う姉に付いて行き、「私もやってみたい!」とお願いしたのがきっかけだという。最初は姉や友人とテニスを楽しんでいたが、次第に「もっとうまくなりたい」「強くなりたい」と思うようになっていったという鈴木さん。それからは毎日のようにスクールに通い、無我夢中でテニスを楽しんだ。
中学に入ると、「いつか全国の舞台に立ちたい」ということが目標となり、その思いは日に日に強くなっていった。
中学2年生のとき。自分に厳しくストイックな鈴木さんは日々練習を重ね、聴者※を相手に難聴というハンデをものともせず、県大会出場を果たす。その後も順調に勝ち進み、ついに次の試合に勝てば全国大会に出場できるところまできた。(※耳が聞こえる人)
今まで感じたことのない緊張とプレッシャーが襲い掛かる中、接戦を制したのは鈴木さんだった。中学2年生にして、見事、全国大会への出場を果たしたのだ。
しかし、結果は初戦敗退。「全国の舞台に立つことを目標にしてしまっていたことが敗因です」と、悔しい様子を見せた鈴木さんだが、その後も中学3年、高校と毎年全国大会出場を果たし、全国常連選手となった。
高校2年生になり、ここで初めてデフテニス日本代表として招集がかかる。日の丸を背負い、実力に一層の深みが出た鈴木さんは、2019年の世界選手権に初出場し、ダブルスで優勝。2023年に行われた世界選手権ではシングルス3位、ダブルス優勝と、世界に名を轟かせる存在となった。
デフテニスの魅力を聞くと、「デフテニスは国内・国際にかかわらず補聴器が使用できないため、視覚の情報や瞬時の判断力が大切。また、ダブルスは普通のテニスと違い、『任せた!』など声でのコミュニケーションが取れないため、長年ペアを組んで培ってきた信頼感やチームワークが鍵となる」と鈴木さんはいう。
東京2025デフリンピックについて聞くと、「今回は東京開催で、かなり注目度が高くなっている。所沢市の皆さんにはいつも応援してもらっているので、私の活躍している姿を見てもらい恩返しをしたい。必ずメダルを獲ってくるので、応援よろしくお願いします!」と、意気込みを語ってくれた。所沢からみんなでエールを送りましょう!
(取材:関)