- 発行日 :
- 自治体名 : 埼玉県加須市
- 広報紙名 : 広報かぞ 2025年11月号
■徳性寺所蔵「紺紙金字法華経(こんしきんじほけきょう)」
源頼朝に仕え鎌倉幕府創建にも関わった武将小山朝政(おやまともまさ)(生年不明~1238年)の墓がある徳性寺は、南北朝期に、その流れをくむ小山義政(おやまよしまさ)(生年不明~1382年)が再興したと伝わる真言宗寺院です。
その徳性寺に平安時代末期から鎌倉時代初期に制作されたと推定される「紺紙金字法華経」8巻が伝えられています。各巻巻頭に配された、経典内容を表す金銀泥(きんぎんでい)により描かれた見返し絵は、重要文化財の延暦寺所蔵「紺紙銀字法華経」8巻と近似する図様を示し、延暦寺本あるいは同系統の転写本を写したものと考えられます。その見返し絵の特色は、斜め向きの釈迦説法図を小さく配し、法華経の経意絵(きょういえ)を1画面に多数描きこむもので、同系統の作品は、延暦寺本を筆頭に現在6件しか確認されていません。その中でも唯一、徳性寺本には8巻全てに見返し絵が残っており、延暦寺本系統の写経絵を検討する上で大変貴重です。
徳性寺本には、少なくとも1回の修理が加えられており、表紙は後補で隠れた状態でした。平成23年から26年にかけ、現状を尊重しながら制作当初に近い状態に戻す修復が加えられ、当初の輝きが蘇り、令和7年に加須市指定文化財から埼玉県指定文化財へと移行しました。
紹介者:佐伯英里子 加須市文化財保護審議会委員
○徳性寺
住所:大越1984
問合せ:生涯学習課
【電話】0480-62-1223
