健康 市民病院・ワンポイントクリニック

■しびれの原因 ~あなたのしびれは、どこから?~
神経内科医師 石塚慶太(いしづかけいた)
しびれは自身で経験したことがある人も多いでしょう。
「正座をしていたら足がしびれた」「肘を打ったら手がジーンとしびれた」
小説や漫画、アニメなどでも極めて一般的な事象として、しびれは描写されています。しかし、そのしびれの感じ方は、人により性質が様々です。刺す様な、ビーンと走る様な、ヒリヒリする様な、むず痒(かゆ)い、冷たい、触れたり押したりすると痛むなど、何らかの刺激を感じるしびれであったり。布一枚越しに触っている様な、つついても痛みを感じないなど、感覚が鈍くなっているしびれであったり。手や足が動かないことを、しびれと感じる方もいます。つまり、「しびれ」という訴えはひとつでも、症状は十人十色ということです。さらには、病気によって、一箇所か、複数箇所か、体幹か、手足の先か、左右片側か、両方か、触れて悪化するか、などの様々な特徴を呈します。
よって、しびれの診断には、症状が「いつから」「どこが」「どのような性質で」「どの様に軽快や悪化しているか」といった、本人にしかわからない『病歴(=病気の履歴)』が重要になります。
しびれを起こす原因を、場所でシンプルに分類するならば、脳、脊髄、末梢神経に分かれます。脳の病気(脳梗塞など)は、手足のしびれの原因になることがあります。脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアは、脊髄や末梢神経いずれも障害される可能性があり、整形外科への受診が推奨されます。末梢神経障害は、糖尿病がしばしば原因になり、他にアルコール、ビタミン不足などの内科的精査が必要です。帯状疱疹は、皮疹が出る前にしびれや痛みだけが出現することもあります。
このように、しびれの原因となる病気は多岐にわたり、医師であっても原因の判断に難渋することがあります。しびれでお困りの際は、上記の『病歴』をお話しいただき、原因に応じた診療科へ受診をすることをお勧めします。