くらし コラム 未来へのリレー

古い蔵が灯す、地域の新たな学びの場
くらとしょいるま 代表理事 佐藤 和子 さん

○プロフィール
入間市仏子生まれ。現在、黒須小学校PTA会長を務める。
PTA活動をしていくうちに、学校、地域との関わりが深くなっていく。
PTAの仲間と任意団体「くらとしょいるま」を立ち上げ、黒須の地域遺産を活用した子どもの居場所となる図書館づくりを目指している。

私たちが活動の拠点にしているのは、入間市に残る、大正時代に建てられた立派な醤油の蔵です。この蔵の魅力を活かして、子どもたちが気軽に立ち寄れる「子ども図書館」を作りたい!という思いから、2024年8月に団体を立ち上げました。
現在は、中学生たちの「勉強場所がない」「家だと集中できない」という声に応え自習室を開設しています。黒須地区から市立図書館までは距離があり「近くに自習室があれば」という切実な願いをこの蔵で実現しました。テスト前の1週間、蔵を開放すると、中高生、大学生までが利用してくれるようになりました。蔵のひんやりと静かな空間、木の香りに包まれながら勉強するのが新鮮で「もっと早く来ればよかった」「すごく集中できた」と言ってもらえるんです。リピーターも増え、地域の遺産である蔵が、特別な学びの場として根付いてきているのを実感しています。
利用者が増えるにつれて、普段使われていなかったこの場所が、生徒さんや保護者の方々に知ってもらえるようになりました。今は、静かに勉強するスペースと、グループワークができるスペースを分けていて、その使い分けも好評です。
そして、蔵を「子ども図書館」にする夢も一歩ずつ進んでいます。11月には、西川材を使った本棚を設置しました。今は絵本を中心に寄付を募っていて、12月には読み聞かせのイベントも開催します。目指すのは、子どもはもちろん、大人や年配の方も気軽に立ち寄れる「ゆるい図書館」。地域の人たちが歴史ある蔵で時間を重ね、未来へバトンを繋ぐ大切な居場所になっていったら、こんなに嬉しいことはありません。隣にある旧黒須銀行との連携も視野に入れながら、これからも活動を広げていきたいと思っています。