- 発行日 :
- 自治体名 : 埼玉県入間市
- 広報紙名 : 広報いるま 令和8年2月1日号
「地域を繋ぐ、クライミング・コミュニティの新しい形」
株式会社Base Camp 事業統括部長
一般社団法人小鹿野クライミング協会 副会長 兼 専務理事
嵯峨 敦さん
○プロフィール
15歳でクライミングに出会い、ワールドカップや世界選手権への出場、ジャパンカップ3位など、日本を代表する選手として活躍。2010年、世界王者・平山ユージ氏の指名を受け、Climb Park Base Camp入間店の立ち上げに参画。現在は国内7店舗を統括する傍ら、入間市内の小中学校での授業やイベントを通じて普及活動に尽力している。また、岩場保全団体の理事としてルート開拓や地域調和にも取り組み、ジムと自然の両面からクライミング文化の発展を支えている。
私がクライミングと出会ったのは15歳の時。「いつかヒマラヤのような高い山に登りたい」という夢のためのトレーニングとして、ジムの門を叩いたのが始まりでした。そこから27年。かつては「危険な登山の延長」と見られがちだったこの世界は、今やオリンピック競技となり、光の当たる場所へと劇的な進化を遂げました。
世界的クライマーである平山ユージ氏と共に「世界に通じるジムを」という想いで入間に「Base Camp」を立ち上げてから15年が経ちました。
クライミングの最大の魅力、それは「明確な成長」と「フラットなコミュニティ」です。壁を前にすれば、年齢も性別も、肩書きも関係ありません。昨日登れなかったグレードが、今日登れるようになる。そのシンプルな達成感が、人を夢中にさせます。「あそこはどう動く?」「こうしたら行けるよ」と声を掛け合う中で、学校でも家庭でも職場でもない、心安らぐ「第3の居場所」が生まれています。
私たちは今、ジムの中だけでなく、その先にある「フィールド」にも目を向けています。クライミングの原点は、やはり自然の岩場です。しかし岩場は管理者がいない自然そのもの。ボルトが朽ちれば危険になり、地域との調和を欠けば登ることさえ許されなくなります。だからこそ私たちは秩父などのエリアで清掃やボルトの打ち替えを行い、未来のクライマーたちが安全に楽しめる環境を守り続けています。
次世代を担う子どもたちに伝えたいのは「自分にとっての『これだ!』を見つけてほしい」ということ。もしそれがクライミングなら、私たちが全力でサポートします。ここBase Campには、ワールドカップを経験したスタッフや、世界を目指す選手たちが集まっています。入間の地から世界へ羽ばたく背中を見送ること。そして競技を終えた後も、生涯を通じて自然の岩と対話する喜びを伝えていくこと。それが、私たちの使命だと感じています。
