健康 わたしたちの健康「関節リウマチとはどのような病気か」

朝霞地区医師会/杉井章二(すぎいしょうじ)

■はじめに
皆さんは「関節リウマチ」という病気について聞いたことがありますか?これは、体の免疫系が自分の関節を攻撃してしまう病気です。免疫が関節を攻撃し、炎症が引き起こされることで痛みや関節の動かしにくさが生じ、日常生活に大きな影響を及ぼします。発症のピークは40~60歳代ですが、実際には10歳代後半~90歳代と、多くの年齢層で発症が見られます。

■どんな症状があるの?
・関節の腫れ…手や足の関節が腫れて、ふくらむことがあります。
・関節の痛みやこわばり…特に朝起きた際に、関節が硬く感じたり、動かすと痛みが生じることがあります。
・関節の変形…治療を行わないと、関節が変形してしまうことがあります。
・関節外症状…肺炎、眼の充血、皮膚潰瘍(かいよう)、手足のしびれなどの症状を合併することがあります。

■原因は?
関節リウマチの原因はまだ完全には解明されていませんが、一部には遺伝や環境要因が関連していると考えられています。たとえば、タバコを吸う人や歯周病を持つ人は発症しやすい傾向があることがわかっています。
関節リウマチの主要な病態は関節の炎症です。炎症とは、免疫が活発に活動している状態を指します。通常、免疫は外部の病原体に対抗するために存在しています。しかし、関節リウマチの場合、外部からの病原体が存在しないにもかかわらず炎症が起こります。これは、自己免疫疾患とよばれる状態であり、自己の免疫が自分自身を攻撃して炎症を引き起こしているのです。
本来、免疫系は自分自身を攻撃しないように設計されています。そのバランスを保つ仕組みの一つが、ノーベル賞を受賞した坂口志文(さかぐちしもん)教授が発見した「制御性T細胞」です。制御性T細胞は自己免疫疾患を抑制する役割を担っており、この細胞が取り除かれるとさまざまな自己免疫疾患が発生することが知られています。坂口教授は京都大学で自己免疫疾患の解明に向けて研究に取り組み、その成果が現在の理解へとつながっています。今後の研究によって、関節リウマチの具体的な原因がさらに解明されることが期待されます。

■どうやって診断するの?
関節リウマチの主要な病態は関節炎ですので、関節に炎症があるかどうかの診察が最も重要です。この検査に加え、症状の経過、血液検査結果(赤血球沈降速度、CRPなど)、特殊な抗体(リウマトイド因子や抗シトルリン化ペプチド抗体)、レントゲン所見などを総合的に検討して把握・診断を行います。というのも、これらの所見は関節リウマチ以外の病気においても現れることがあるためです。ほかの似たような症状を呈する疾患を除外し、正確な診断を確定することが極めて重要です。

■どうやって治療するの?
最近の研究の進展により、関節リウマチの患者さんの身体の中で何が起きているのか、どのような物質が作用しているのかが明らかになってきました。それに基づいて、関与する物質や細胞に直接働きかける抗リウマチ薬が次々と登場し、劇的な効果をあげています。私がリウマチの診療に携わりはじめた約30年前、関節リウマチの診断を受けて途方に暮れる患者さんに対しては「いっしょに頑張りましょう」としか言えなかったのですが、現在では「必ず良くなりますよ」と言えるようになりました。早期発見と適切な治療が非常に重要です。

■まとめ
関節リウマチは病態の解明に伴い、治療が劇的に進歩しています。この疾患に対する理解が進むことで、患者さんを支える体制が整っていくことを願っています。そして、今後は制御性T細胞を活用した新たな治療法が登場することに期待を寄せています。

問合せ:朝霞地区医師会
【電話】048-464-4666