- 発行日 :
- 自治体名 : 埼玉県北本市
- 広報紙名 : 広報きたもと 令和7年11月号
『間質性肺炎』
提供:桶川北本伊奈地区医師会
間質性肺炎という病気を聞いたことはありますか?美空ひばりさんや八代亜紀さんの訃報で耳にされた方もいるかと思います。
一般的にはあまり耳なじみのないこの病気について解説していきたいと思います。
■間質性肺炎って何?
人間の肺は酸素と二酸化炭素をやり取りする肺胞という組織がたくさん集まってできています。本来の肺はスポンジのようにとても柔らかい組織です。間質性肺炎は肺胞の壁が厚くなり、ヘチマのたわしのようにカチカチになってしまう病気です。
間質性肺炎の中で8~9割を占めるのが特発性肺線維症(IPF)と呼ばれるタイプです。IPFの罹患者数は2000年代の調査で10万人に10人程度とされていましたが、2020年代には27人まで増加傾向にあります。
本来肺には傷がつくと修復される機能があります。IPFでは傷がついて修復されることが繰り返される過程で異常が生じて発症すると考えられています。軽症のうちは自覚症状に乏しく、進行すると乾いた咳、動いたときの息苦しさを自覚するようになります。通常は病状が進行していきます。
■間質性肺炎の診断は?治療は?
病状や経過の細かい聞き取り、診察に加えてレントゲンやCTで異常が認められると診断がつきます。一部の方にはより細かい情報を得るために、気管支鏡(肺の内視鏡)や手術を行って肺の組織を採取することがあります。
長い間間質性肺炎には有効な手立てがなく、診断してもよい治療方法がない時代が長く続いていました。最近になり抗線維化薬という肺の悪化を抑える薬を使えるようになりました。
抗線維化薬はなるべく早期に使うことで最大限の効果を発揮するため、早期診断・早期治療が重要です。
■どんな時に相談すればよい?
乾いた咳が長く続く、動いたときに息苦しさを感じる、健康診断でレントゲンや胸の音の異常を指摘された時には、「もしかして間質性肺炎ですか?」とかかりつけの先生に相談してみてください。
