文化 今月のFujimist

■石塚 卓也 さん(伝統芸能)

◇元気を届ける伝道師
「とにかく和太鼓が好き」と太鼓への一途な思いを語るのは、市内在住で「富士見太鼓の会」の会長を務めている石塚卓也さんだ。石塚さんが会長の座に就いたのは5年前のコロナ禍(か)だった。「好きな和太鼓を通じて元気を届けたいとの思いから重責を担うことに迷いはなかった」と語る。
「和太鼓の音は元気の源。富士見太鼓の会は元気の伝道師」これは先代会長の言葉だ。その精神を胸に、富士見太鼓の会は半世紀近くにわたり活動を続け、地域に響く力強い鼓動を届けている。石塚さんが和太鼓に出会ったのは、プロの日本舞踊家であった叔父に憧れ、「自分も何かをやりたい」と思い立ったことがきっかけで、「小学生の頃に母に連れられて観た和太鼓の稽古で、体の芯まで響く“ドン”という音に心を奪われ、その魅力に引き込まれていった」と当時を振り返る。以来、27年間和太鼓を叩(たた)き続けている。和太鼓は、同じ曲でも奏者によって音色も表現も異なり、完成形がなく常に進化し続ける芸能。だからこそ奥深く、挑戦し続ける面白さがあるのだろう。「演奏を聴いた人が楽しかったと笑顔になることが一番の喜び」と語る石塚さんは、まさに先代会長の言葉どおりの伝道師だ。

◇和の響きは国境を越える
石塚さんは日々和太鼓の技術を磨くとともに、地域の伝統芸能としての和太鼓を継承し、次世代に伝えていくため、地域の子どもたちへの指導にも力を注いでいる。「和太鼓を楽しむことをモットーに、技術の習得より音を通して心を解き放つ体験を大切にしています」と語る。また、これまでにタイやハワイなどで海外公演も行い、日本が誇る伝統芸能を世界へ発信してきた。響き渡る和太鼓の音は言葉の壁を越え、人々の心をつなぐ力を持っている。富士見太鼓の会創立50周年を視野に入れる今、さらなる飛躍を目指し、さまざまなイベントを通じて地域とともに歩み続けている。市の魅力を広める存在として、「将来は富士見市PR大使としての役割も担いたい」と語る石塚さんは、今後も未来へ向かって和の響きをつないでいくことだろう。

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