文化 文化財めぐり vol.03

■土屋神社神木スギ
◆自然の偉大さと人々の想いが織りなす歴史の証
浅羽野に鎮座する土屋神社の境内には、樹齢1000年以上と伝えられる樹高17m、幹周り8.5m、根回り11.8mの壮大な神木スギがそびえ立っています。この巨樹は、古墳時代終末期に造られた直径50mの円墳の頂上、社殿の背後に位置し、存在感を放っています。また、昭和23年(1948年)には県の天然記念物に指定され、その価値の高さが広く認められました。

◇古くから伝わる「テンマサ」伝説
神木スギには古い言い伝えがあります。昔、この地にはふたつの太陽があり、その強烈な光と暑さに人々は苦しんでいました。そこで、太陽の退治を頼まれた神木スギに住む弓の名人であるテンマサが、弓矢でそのうちの一つの太陽を射落とし、地上に平穏をもたらしました。
射落とされた太陽はバラバラになって地上に落ち、天に残ったかけらの一部が、現在の月になりました。
また、坂戸の北西に落ちた太陽のかけらを村人たちは神として祀(まつ)りました。その土地を日祭りと書いて「ニッサイ」と呼び、後の入西村になったとも言われています。

◇地域とともに生きる、神木スギ
神木スギは度重なる台風や火災、落雷などの影響で、枝の約7割を失ったものの、地域の人々の手によって守られ、今もなおその姿をとどめています。
この神木スギは、長い歴史の中で地域の人々の信仰とともに存続し、その堂々たる姿は、訪れる人々に自然の力強さと神秘性を感じさせます。この巨樹を見上げ、その悠久の時を感じながら、地域の歴史と自然の調和に想いをはせてみてはいかがでしょうか。

所在地:浅羽野2-2-11

※歴史民俗資料館では、神木スギの一部を展示しています。

問合せ:歴史民俗資料館
【電話】049-284-1052