- 発行日 :
- 自治体名 : 千葉県千葉市中央区
- 広報紙名 : ちば市政だより 中央区版 令和7年8月号
《八代目市川団十郎の死絵(しにえ)(涅槃(ねはん)図)》
嘉永7年(1854)8月 千葉市美術館蔵(林美一コレクション)
死絵とは、主に歌舞伎役者が亡くなった際、追善のために出版された浮世絵のことです。本図中央に涅槃の姿で描かれるのは八代目市川団十郎(1823-54)で、優れた技芸と美貌により熱狂的な人気を誇りました。しかし、32歳の若さで自殺し、数多くの死絵が出版されました。団十郎の周囲には関係者のほか、ファンと見られる女性も描かれており、当時の社会的影響の大きさを想像させます。こうした死絵ですが、死を連想させることから忌避され、現存するまとまったコレクションは多くありません。浮世絵研究者の故・林美一氏が収集した貴重なコレクションを、開館30周年記念の特集展示でぜひご覧ください。
(常設展示室にて7月9日(水曜日)から8月31日(日曜日)まで展示)