文化 市美術館コレクション探訪

■吉田登穀(とうこく)
《孔雀図屏風》
紙本着色 2曲1隻
昭和(1926-88)前中期
千葉市美術館蔵(鈴木民三氏寄贈)

真っ青な体を持つインドクジャクが羽を広げた華麗な姿が、水墨の筆線の勢いを残しつつ彩り描かれています。求愛の形らしく傍らにメスも寄り添わせ、雌雄の対比や斜めの構図で画面に変化が加えられました。吉田登穀(1883-1962)は、千葉県大原町に生まれ、郷里で神官などもつとめますが、帝展や日展で活躍した房総ゆかりの日本画家。松林桂月に師事し、師ゆずりの南画の花鳥画を得意とし専らとしました。
千葉市美術館の近代日本画のコレクションは、多くが個人の方からのご寄贈品です。本図は、開館後まもなく、美術館での展示を意識して大きな画面の屏風絵ばかりをご寄贈いただいた鈴木コレクションからの1点です。その他、開館30周年記念特集展示で、それぞれに個性的な寄贈コレクションのハイライトをお楽しみください。
(常設展示室にて9月2日から10月5日展示)