- 発行日 :
- 自治体名 : 千葉県佐倉市
- 広報紙名 : こうほう佐倉 2026年1月1日号(1468号)
今年も「こうほう佐倉」では、さまざまな市の情報をお伝えしていきます。
2026年のスタートを飾る今号では、佐倉市出身で、令和6年に佐倉PR大使に就任した建築家山崎健太郎さんについて紹介します。
山崎さんの建築家という仕事への向き合い方や、生まれ育った佐倉に対する思いなどについてお話を伺いました。(→2・3ページへ)
■山崎 健太郎 YAMAZAKI KENTARO
◆Profile
1976年佐倉市生まれ。
株式会社山崎健太郎デザインワークショップ代表。
工学院大学教授。
主な建築物に「はくすい保育園」(2014年)、「新富士のホスピス」(2020年)、「52間の縁側」(2022年)など。
主な受賞に日本建築学会賞(作品)(2024年)、JIA日本建築大賞(2023年)、グッドデザイン大賞、内閣総理大臣賞(2023年)、JIA 優秀建築賞(2021年)、iF DESIGN AWARD金賞(2017年)、日本建築学会作品選集新人賞(2015年)ほか。
■Interview
◆人と土地の声に耳を澄ませ、「想い」に応える-
▽「建築家」という仕事について
設計の仕事は、一人ではできないんです。まず、クライアント(顧客)から「この敷地にどのくらいの大きさで、どのような建物を建てたい」というリクエストがありますよね。その話を聞き、絵を描いて、模型を作って、チェックしたり、全体像を想像したりする。他にも、詳細な図面を書いたり、建築基準法をちゃんと確認したりしてね。いろいろなことをやらなくちゃいけないから、スタッフと分担しながら取り組むんです。僕の仕事は、最初の絵を描いたり、みんなで模型をいじったりしながら、「こういう建物にしていこう」という方針を決めていくことです。
もともと、理系の大学に進もうと考えていたけれど、コンピューターや機械を扱うことよりも絵を描くことが好きだったので、絵を生かせる建築学科を選んだんです。そこから大学で勉強するうちに「面白いな」と思うようになって、卒業後、設計事務所で6年ほど働いて、その後、自分の事務所を作り、設計の仕事をするようになりました。でも、「建築家」って定義するのは難しい。自分で名乗るものでもないですから。
▽クライアントと土地に寄り添い、「夢」を形にする
「52間の縁側」(2ページ写真上/下)はデイサービスの施設ですが、クライアントである施設の責任者は、「いろいろな人が一緒に過ごせるような場所をつくりたい」と考えていました。
彼の介護の仕方を見ていると、利用者のかたと向かい合うのではなくて、横に居るんです。この「人が横に並んで座る」場面を思い起こしてみると、それが縁側という場所で起きることだと気づいたんです。敷地も細長い形だったので、「縁側の構造形式が合いそう」とも。
そして、その考えを模型にして提示すると、彼も僕と同じように気づいてくれましたね。
他にも、「はくすい保育園」(3ページ写真上)が建っている場所は、平らな土地があり、斜面がちょうど南側に向いていて、あそこに立つと、畑や田んぼから風が吹いてくるんです。佐倉は自然がすごく豊かですし、その部分を生かすべきだろうと思ったんです。また、クライアントから「こどもが育つ環境を考えてほしい」と頼まれたことは、すごく嬉しかったですね。だって、面白いじゃないですか。僕も「こどもたちが育つ環境というのは何だろう?」と一緒に考えられたし、敷地の斜面を生かして、そこに建物を建てることにも挑戦できましたから。
僕が出会ったクライアントは、多くの場合「こういう場所にしたい」という明確な夢や希望を持っていて、そうしたかたがたに出会えたことは、すごく運が良かったですね。
▽建物で過ごす人びとの「表情」に想いを巡らす-
僕は、建物の模型を作るとき、縮尺に合わせた家具や人も入れるようにしています。これは必ずやらなくちゃいけないことだと思っていて、実際、人を入れるとスケールがよく分かるんですよね。でも、模型用の人形の顔は「のっぺらぼう」なんです。表情がない。だから、「こう過ごすはずだ」とは言い切れないし、本当にそれで合っているのか確信が持てないまま建物ができていくということは、ちょっと怖い。
そこで自分でも、扉だったり、家具の配置だったり、ベンチの向きを変えたりして工夫してみる。そうすると、「この向きだとなんとなく何かが起こりそうだ」というイメージは湧いてくる。でも、その顔が具体的な誰かなのかは、なかなか分からない。でも最後は設計の途中で関わった、誰かの顔が浮かんでくることもあります。
だから、もう一つ大事なことは、クライアントにも模型を見てもらうこと。ここですごいと感じるのは、彼らは具体的に誰かの表情を想像できていることなんです。「こうだったらいい」とはっきり言ってくれる。こうした工程も、設計にはすごく大切なことです。
※「山崎」の「崎」は環境依存文字のため、置き換えています。正式表記は本紙をご覧ください。
