- 発行日 :
- 自治体名 : 千葉県鴨川市
- 広報紙名 : 広報かもがわ 2026年1月1日号 No.520
国の文化審議会(島谷 弘幸会長)は、令和7年10月24日に開催された文化審議会文化財分科会の審議・議決を経て、大山寺不動堂1棟、宮殿1基を重要文化財(建造物)に指定することを文部科学大臣に答申しました。これは、技術的・芸術的にレベルが高く、地方の特色が顕著な建造物である点が評価されたものです。市内の国指定文化財は、1922(大正11)年に天然記念物「鯛の浦タイ生息地」(昭和42年に特別天然記念物に昇格)、1938(昭和13)年に天然記念物「清澄の大スギ」が指定されており、3件目(建造物では初)、87年ぶりの国指定となります。
大山寺は、長狭平野の最西端に位置する高藏山の山頂近くにある古刹です。縁起によると、奈良時代(724年)に奈良東大寺の開祖、良弁僧正によって開山されたと伝えられています。
足利一族や里見氏の庇護を受けて繁栄し、江戸時代には山岳修験の寺として信仰を集めました。その後、明治政府による神仏分離令や修験道禁止の政策により、高藏神社の境内の一施設として扱われていましたが、現在は、真言宗智山派に属しています。
前身となる「不動堂」は1586(天正14)年に建立され、「宮殿」は1699(元禄12)年に造営。1802(享和2)年に、宮殿を組み入れるように現在の不動堂が再建されました。
希少性があり大変貴重との評価
不動堂は、弓形の梁が上下に2本重なった二重虹梁(こうりょう)などが特徴的で、当地における江戸後期の寺院建築を代表する造りになっています。
不動堂の内部にある宮殿は、本尊の木造不動明王坐像と両脇侍立像を収めると共に、仏像を安置する台座である須弥壇(しゅみだん)と一体の構造となっています。
それらは完全に不動堂の建築から分離しており、基礎を有し独立した建築物である宮殿を収めるために不動堂が建立されたと考えられ、宮殿と不動堂が一体の建築物と捉えられる点に希少性があり、全国的に極めて珍しいことが分かりました。
さらに宮殿の濃密に施された華麗な彫刻や極彩色は、県内君津市の神野寺、館山市の那古寺などの大型宮殿の先駆的な事例としても貴重だとされています。
これら不動堂と宮殿は、県下における修験系寺院の近世的な展開と様相を示しており、大変価値が高いとの評価を受けました。
蒔苗茂教育長は「大山寺は創建以来、長狭のシンボルとして、地域の人々によって守られてきました。現在作成を進めている文化財保存活用地域計画に基づき、これからも適切に保存されるよう支援し、鴨川市の観光資源として活用しながら、次世代に伝えていきたい」と話していました。
■重要文化財って?
国にとって歴史上、芸術上、学術上の価値が高く、各時代や類型の典型となる建造物を「重要文化財」として指定します。大山寺は、重要文化財の指定基準「意匠的に優秀なもの」「流派的又は地方的特色において顕著なもの」として特に評価されたものです。
◇指定物件≪大山寺 鴨川市平塚1718番地1≫
不動堂1棟:桁行五間、梁間五間、一重、入母屋造、向拝一間、軒唐破風付、銅板葺、附・棟札二枚
宮殿1基:桁行三間、梁間二間、二重、切妻造、上重正面千鳥破風付、下重正側面軒唐破風付、木瓦葺、須弥壇含む
◇その他、市内の国指定文化財
・鯛の浦タイ生息地
大正11年3月 天然記念物に指定、昭和42年12月 特別天然記念物に昇格
・清澄の大スギ
大正13年12月9日 天然記念物に指定
■もっと知ろう‼重要文化財
大山寺講演会
重要文化財は、日本の長い歴史の中で生まれ、育まれ、今日の世代に伝えられてきた貴重な国民的財産です。市では、以下の日程で大山寺講演会を開催します。鴨川市に新しく認められた文化財を誇りに感じ、詳しく学び、次世代に継承することで、地域を盛り上げていきましょう。
日時:1月24日(土)午後1時から
場所:大山公民館
講師:東京藝術大学 上野勝久 教授
内容:重要文化財に指定された大山不動堂、宮殿の構造について、専門家による講演
申し込み:専用フォームから(先着70人)
問い合わせ:郷土資料館
【電話】7093-3800
■大山寺住職 金本 拓士 氏
重要文化財の指定は非常に喜ばしく、改めて素晴らしい文化財が残されていることが証明され、誇りに思います。鴨川の宝を皆さんにもっと知ってもらい、活気が出てくれると嬉しい。
■大山寺総代長 古谷野 勝 氏
檀家のいない寺なので、地域で頑張って管理してきました。引き続き、地域の皆さんとともに協力して寺を守っていきたい。
