くらし [特集]内裏塚古墳群として国指定史跡になりました

内裏塚(だいりづか)古墳群は市の北部、小糸川河口付近の低地に存在する古墳群で、JR内房線青堀駅周辺の約2km四方の範囲に分布しています。当古墳群の中で、築造年代が最も古く、南関東最大規模である内裏塚古墳(二間塚)を中心とする古墳群ということから「内裏塚古墳群」と呼称しています。
内裏塚古墳は、平成14年に国指定史跡になっていましたが、このたび、当古墳群の中でも大型の古墳である上野塚(うわのづか)古墳(大堀)、九条塚(くじょうづか)古墳(下飯野)、古塚(こづか)古墳(二間塚)、稲荷山(いなりやま)古墳(青木)、三条塚(さんじょうづか)古墳(下飯野)、割見塚(わりみづか)古墳(二間塚)、亀塚(かめづか)古墳(下飯野)の7基が追加され、令和7年9月18日に、「内裏塚古墳群」として国指定史跡になりました。
※国指定史跡:文化財保護法に基づき、文部科学大臣が指定する、歴史・学術上価値が高いと認める古墳・貝塚・城跡など

Q.内裏塚古墳群とは?
A.古墳とは昔の偉い方のお墓です。内裏塚古墳群が造営された時期は、5世紀中頃~7世紀前半で、当時、小糸川流域一帯(現在の富津市・君津市)を統括していた首長(豪族)である「須恵国造(すえのくにのみやつこ)」とその一族が眠っていると考えられています。
当時、大和朝廷が国土統一のために、地方の首長らを支配下に入れ、その証として古墳を築いたとされており、内裏塚古墳群の大きさや発見された遺物などから、須恵国造は大和朝廷との繋がりが強かった有力な豪族であったと考えられています。

Q.内裏塚古墳群には、どんな種類の古墳があるの?
A.前方後円墳のほか、方墳・円墳があります。
現在までに確認されている古墳の総数は49基(前方後円墳11基・方墳7基・円墳19基・墳形不明12基)で、そのうち23基が現存しています。
古墳群中の大型前方後円墳の規模は関東地方でも屈指のものであり、また前方後円墳・円墳・方墳が一体となって群を構成し、階層差を示している点でも、東国の古代史研究上、非常に重要な古墳群です。

Q.なぜ、富津市にこんな大きな古墳群があるの?
A.内裏塚古墳群は、標高8m前後の沖積地上の北東~南西方向に形成された複数の砂丘列の高まりを利用して築造されています。
富津市は、東京湾に向かって突き出す富津岬が三浦半島に迫り、東京湾内でも最も対岸に接近した地域です。この砂州の周囲は、古くから海上交通の要衝として、重要な位置を占めていたと考えられています。

Q.古墳の中には何があるの?
A.「棺」と呼ばれる、亡くなった方が入る箱と、棺を入れる「石室」と呼ばれる空間があります。内裏塚古墳の石室は「竪穴式石室」で、古墳の上から穴をあけ、古墳内部に棺を入れます。
時代が新しくなると、朝鮮半島からの影響を受けて「横穴式石室」が流行し、九条塚古墳などで用いられます。
これは、古墳の横から穴をあけ、棺をしまった後に大きな石でふたをして、再び開け閉めができるようになっています。これによって亡くなった時期が違っても、同じお墓に入ることができる「追葬」が可能になりました。

◆Q.棺や石室の中には、何が一緒に埋められていたの?
A.力の強い首長であるほど、たくさんの品物が埋められたそうです。これらの品物は「副葬品」と呼ばれます。
内裏塚古墳群の各古墳の中からは、鉄でつくられた武器や防具、鏡など、発見された品物もそれぞれの古墳で特徴があり、いずれも非常に豪華な内容になっています。古墳の周りには埴輪も立てられていました。

・弓矢の先につける「なりかぶら」(内裏塚古墳から出土)
・内裏塚古墳群から見つかった埴輪(富津公民館で展示)
・馬具や鏡(三条塚古墳から出土)
・内裏塚古墳群から見つかったたくさんの副葬品
※詳細は本紙をご覧ください。

◆内裏塚古墳群の範囲と国指定史跡になった古墳

※詳細は本紙をご覧ください。

問い合わせ:生涯学習課
【電話】0439-80-1342

◆内裏塚古墳群のイベントを開催します!
◇内裏塚古墳群 史跡追加指定記念講演会
~東日本最大級の海辺の古墳群~
日時:11月22日(土)14:00~(13:15開場)
場所:富津公民館ホール
講師:
・笹生衛さん(國學院大學神道文化学部教授)
・小澤洋さん(富津市文化財審議会委員)
費用:無料(申込不要)
※普段は見ることのできない出土遺物を展示します。

問い合わせ:生涯学習課
【電話】0439-80-1342

◇第42回市民ハイキング
歴史観察や自然観察をしながらウォーキングを楽しむ市民ハイキングを開催します。
対象:どなたでも(就学前の幼児は保護者の同行が必要です。)
日時:11月23日(日)9:20~12:00(9:00~受付、雨天中止)
集合場所:飯野コミュニティセンター
コース:内裏塚古墳群を巡る約5km
費用:無料(申込不要)

問い合わせ:生涯学習課
【電話】0439-80-1344【電話】070-2656-9798(当日専用)