- 発行日 :
- 自治体名 : 千葉県山武市
- 広報紙名 : 広報さんむ 令和8年2月号
平成23年3月11日午後2時46分、宮城県牡鹿半島沖を震源とする東北地方太平洋地震(M9.0)が発生しました。この地震により福島第一原子力発電所が被災し、津波と原子力災害は人々の生活に甚大な被害をもたらしました。市内では木戸川が決壊し、住居の浸水や道路の破損など大きな被害を受けました。15年前の試練を乗り越えて前を向く市内の二つの軌跡から、津波被害と原発事故を振り返ります。
(昨年12月、政府の中央防災会議が公表した推計によると、M8規模の首都直下地震が発生した場合、市内の震度は震度5強から6弱と予想され、津波の高さは最大で5mを超えるとあります。
災害発生時には道路の寸断による支援の遅れなど考えられるため、日頃から地域のつながりを大切に、情報取得手段も再確認して備えましょう)
◆~あの時の恩返しを~
小松海岸の近くで葬儀場を営む株式会社ジロイムの古沢元基さんは、発災時、車の運転中でした。「急いで戻り、祖父と父と緑海小へ避難しました。葬儀場に保管するロウソクが停電で困っている地域の役に立てないかと思い津波が引いてから戻ったのですが、納車間もない霊柩車が流されるなど被害の状況に愕然としました」と当時を振り返ります。ブロック塀の倒壊や床上浸水の被害は復旧まで1カ月を要し、葬儀場も大きな損害を受けましたが地元の方々から「『ジロイムさんがここで葬儀屋をやってくれないと俺ら困る』と皆さんも大変な時なのに声をかけていただいて。本当に有難かったです」と葬儀場の復旧復興を支える大きな力になったといいます。
自社の復旧作業の傍らで、自衛隊の給水活動やボランティア活動の拠点として駐車場を解放するなど地域の復旧にも貢献した古沢さんは「地元の皆さんのおかげでジロイムは復活できました。消防団の活動や商工会など地域の繋がりを大切にあの時の恩返しをしていきたいです」と語ります。
◆~松尾町高富地区にキラリ光る超一級の技術力。さらなる明日への挑戦~
原子力災害の甚大な被害を受けた福島県浜通り地域(南相馬市など)を拠点に産業の復興や新しい産業の創出を目指す国家プロジェクト「福島イノベーションコースト構想」
半導体製造装置や航空エンジン部品の製造を行う株式会社井部製作所(松尾町高富井部良則社長・社員47名)は、かつては国内で同社しか加工できなかった半導体向け特殊カッターなど国および福島県からその技術力を高く評価され同構想の誘致に対して「自社の技術力と社員の地元採用などで被災地復興の力になりたい」との思いから、まだ震災の爪痕が残る平成28年12月、南相馬市に工場を新設しました。当時、松尾工場から派遣され南相馬工場長を務めた小川幸仁さんは「初めて南相馬市を訪れた時は空っ風が吹き仮設住宅が目立ち静かな景色が広がっていましたが、今では道路も整備され企業の進出も進み、環境が一変しました。山武と南相馬で社員同士お互いに助け合い、切磋琢磨しながら改善を重ね、技術力を磨きあっています。私の夢は宇宙輸送分野に関わることです」と当時を振り返りながら夢を語ります。松尾工場で勤務する入社3年目の荒井奈緒美さんは「機械加工は未経験でしたが、図面を見ながら製品を完成させることはとても魅力的で楽しいです。製品づくりには無限の可能性があると思います」とものづくりに関わる魅力を話します。
復興からさらなる発展へ。人々の思いや繋がりが空っ風を追い風に変えていきます。
