- 発行日 :
- 自治体名 : 千葉県いすみ市
- 広報紙名 : 広報いすみ 令和7年6月号
■いすみ鉄道について考える
いすみ市長 太田洋
3月の終わりに、「春の国吉駅まつり」が開催されました。いすみ鉄道が運休になってから久しく、いすみ鉄道応援団の皆さんが、寂しくなったいすみ鉄道沿線で、菜の花、桜と共に、地域を元気にしようとの催しでした。当日は、多くの人がいすみ鉄道の早期復旧を願って参加していました。特に、開放されたキハの車内で、子供達がプラレールで楽しく遊んでいる姿を見ると、なんとも微笑ましく温かい気持ちになりました。
いすみ鉄道は、地域にとって、無くてはならない交通であると思います。始発駅の大原駅には、県立大原高校、大多喜駅には県立大多喜高校を抱え、毎日多くの生徒が乗車していました。私自身も、当時、木原線(現・いすみ鉄道)を使い、時にはバスで大多喜高校まで通っていました。その頃の木原線の車両は朝夕満員で窮屈な通学でしたが、友達と話しながら通ったことを懐かしく思い出します。大原駅では、帰りに時間があると商店街を散策したものです。
また、いすみ鉄道は、特に、春の季節は、たくさんの観光客の皆さんで賑わい、大原駅も国吉駅も活気あふれる時期です。しかし、いすみ鉄道が運休している今年は、訪れる人も減り、寂しい春になってしまったように思います。とにかく、一日も早くいすみ鉄道が復旧し、高校生や観光客の皆さんを運ぶようになって欲しいと願うばかりです。
今、いすみ鉄道は、第3セクターとして、千葉県、周辺自治体、民間企業が出資して運営していますが、厳しい状況にあることは確かです。しかし、いすみ鉄道は地域のシンボルであります。先人が残してくれたその貴重な財産を、今を生きる私たちはこれからどう活かしていくかを考えていかなければならないと思います。これからの地方創生は、あるものを探し、これらをどう活用していくかが問われています。地域には、海、里、川、まちがあり、これを繋ぐいすみ鉄道が走っています。長い歴史の中で続いている農業、漁業、商工業をどう維持していくか、今はこれを真剣に考え行動するときです。地域を繋ぐいすみ鉄道が運休している時、この鉄道の大切さを今一度考え、早く再開にこぎつけ、地域の足として復活することを願う日々です。