くらし 特集(2) Farmer’s Story―おいしさの奥に宿る見えない力―

◆つながり紡ぐ先導者に
たちばなふぁーむ合同会社(南中)
青木清子(あおききよこ)さん
江戸時代から続く農家
有機栽培歴は約8年
有機JAS認証取得済
私たちは主食米を中心に慣行栽培と有機栽培を両立させながら生産しており、約20年前からお米のインターネット販売も行っています。また、都内の高校生などを対象にした田植え体験や稲刈り体験などを開催し、自分たちが食べる農産物がどのようにして作られているかを知る機会も提供しています。
お客さまの多様な価値観にお応えし、お米の付加価値を高めるため、一部の田んぼを使って有機栽培を始めました。現在は、町のオーガニックビレッジ宣言に関連した取り組みにも協力しています。
有機栽培は作物の収穫できる量が少なく、栽培方法の工夫が必要で手間もかかりますが、お客さまからいただく「今年もお願いね」という声が農業を続ける原動力になっています。今後は面積を拡大し、自分たちが先導者となって、さらに有機栽培を広げていきたいです。

◆続けることに価値がある
有限会社大谷農場(喜多)
左:大谷晴美(おおたにはるみ)さん 右:大谷達則(おおたにたつのり)さん
農業歴は約50年 有機栽培歴は約29年
有機JAS認証取得済
私たちは「多古米コシヒカリ」を専門に、JAS有機栽培米と特別栽培米を生産しています。「大谷農場ならではのものを作りたい」と考え、有機栽培に取り組むことを決意しました。
有機米は専用の田んぼで作る必要があるため、他の現場で使用した機械をすべて掃除してから作業するなど、丁寧な対応が必要になります。時間と労力はかかりますが、「やっぱり大谷さんの有機米でなければ食べることができない」というお客さまの声が支えとなって、米作りを続けることができています。
ものごとをやめることは簡単ですが、続けるには努力が必要なので、継続することはとても価値のあることだと思っています。今後も勉強を積み重ねながら、環境に優しく、おいしい米作りに取り組んでいきたいです。

◆やってみないとわからない
有限会社わぁーふぁ道本(どうほん)(高津原)
左…篠塚正男(しのづかまさお)さん 右…篠塚(しのづか)のりさん
農業歴は約50年 有機栽培歴は約34年
有機JAS認証取得済

当初は慣行栽培をしていましたが、「農薬を使わずに野菜を作れないか」という声が一つのきっかけとなり、有機栽培を始めました。現在は200棟以上のハウスで小松菜やベビーリーフなど、年間12種類以上の有機野菜を生産しています。
有機栽培で難しい点のひとつは土作りです。土の性質は場所や環境によって異なるため、堆肥をブレンドして作物ごとに適した土作りをしています。何度も試行錯誤を重ねることで、より良い土を作ることができます。これをやれば必ず上手くいくという方法はなく、実際にやってみないと結果は分からないものです。
有機栽培は手間がかかりますが、「野菜がこんなに甘くておいしいと思わなかった」という、お客さまの声が大きな励みになっています。これからもおいしい野菜をお届けするため、いろいろなことに挑戦し、改善点を探りながら取り組んでいきたいです。

◆挑戦で切り開く新たな価値
有限会社ゆうふぁーむ(西古内)
境野心作(さかいのしんさく)さん
農業歴は約20年
今年3月頃から一部の畑でニンジンの有機栽培を開始
今後、有機JAS認証取得を目指す
現在私たちは町内で約100枚の畑を管理し、ニンジンを中心に約11種類の露地野菜を生産しています。
当初、有機栽培は難しいものと思っていましたが、町の支援や講演などを通じて今後の可能性を感じ、思い切って挑戦することにしました。最初は手探りでしたが、有機栽培に取り組む先輩農家の方や、多古町旬の味産直センターの方などからアドバイスをいただいたおかげで、前に進むことができました。
学びと実践を重ねるうちに、有機栽培ならではの難しさや新しい発見などがあり、挑戦する面白さを感じています。今後は他の農家さんへの視察やインターネット販売などにも力を入れたいと思っています。「ゆうふぁーむのニンジンだからこそ購入したい」と思っていただけるよう、これからもより良い畑作りと価値ある農産物の生産を目指して、学びと挑戦を続けていきます。

◆都会を離れて農業の担い手に
髙石健太郎(たかいしけんたろう)さん(船越)
農業歴は約5年 特別栽培歴は約3年
都内の会社員だった私が米作りの道に進んだ最初のきっかけは、知人の紹介で多古の米農家の方と出会ったことでした。その後約2年間、さまざまな農家の方と交流していく中で後継者不足の話を聞き、自分も地域農業を支える担い手になりたいと思い、米農家になる決心をしました。
農業に関する情報収集を行い、自分一人でできる作業量などを考慮し、有機栽培よりも基準の緩やかな特別栽培に取り組むことにしました。現在は魚粉などを使った土作りに挑戦し、一部の田んぼでコシヒカリなどの主食米を栽培しています。品質と収穫量を両立させている方もおり、私もいずれはそうなれるよう、頑張っていきたいです。今後も実践を積み重ね、地域農業に貢献していきます。

◆多古町から生まれる宝物
今回取材した生産者たちの声に共通するのは「人とのつながり」の大切さ。挑戦で壁にぶつかることがあっても、周りの人たちからの助けや温かい言葉が、生産者たちの支えとなっています。
人と人とのつながりや豊かな大地の恵みがあふれる多古町。多古の大地が生み出す恵みを味わい堪能することで、その価値を感じてみてください。そして、この物語を紡ぐ生産者の皆さんを一緒に応援しませんか。人と大地が織りなす絆が、多古町の未来をつくっていきます。