健康 病気の豆知識

■脳動脈瘤
塩田記念病院 名誉院長 脳神経外科部長 青柳傑

脳の血管は壁が薄くしなやかにできています。壁に瑕がついて修復が遅れると、膨らんで動脈瘤ができます。動脈瘤は壁が薄く、破裂するとクモ膜下出血を起こします。治療は、早めに開頭クリッピングを行うか、血管内手術で瘤の中を詰めて、再出血しないように治療します。しかし、破裂出血による脳の損傷、脳血管攣縮による梗塞が回復を妨げます。破裂後に治療を受けて、病前の状態に回復する確率は30%弱といわれています。手術治療後、回復するまでに、患者さん、医療側ともに大変な忍耐と努力が必要になります。脳動脈瘤を持っている方は人口の2~6%といわれています。MRIにより、こうした方(未破裂脳動脈瘤)が診断されるようになりました。全ての人が破裂するわけではありません。大きなもの、形が悪いもの、増大するものが破裂の危険が高いと考えられ、破裂予防の手術をお勧めしています。しかし、未破裂脳動脈瘤がある方のほとんどは、全く症状がなくお元気です。疾患を受容し、治療を受けるには、高いハードルがあります。手術治療の有効性、安全性は、飛躍的に進歩しており、未破裂脳動脈瘤の手術は、破裂例に比べると格段にリスクが少なくなります。塩田記念病院では、クリッピングも血管内手術も最善の治療が受けられます。破裂脳動脈瘤の患者さんが超えなければならない合併症と向き合う度に、可能であれば、破裂前に治療が行えていればと思うことが多いこの頃です。

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