- 発行日 :
- 自治体名 : 東京都港区
- 広報紙名 : 広報みなと 2025年6月1日号
今回は、さまざまな形で更生を支援されている4人にお話を伺いました。
▼港区保護司会 針ヶ谷直仁会長/港区保護司会 出野泰正前会長
▽保護司の活動内容について教えてください。
出野:保護観察、生活環境調整、犯罪予防活動の3つが活動の柱です。具体的には、刑事施設に入っている人の出所後の生活の基盤となる帰住先の環境や、就職先・就学先が適しているかどうかを確認し、出所後に月に2・3回面接をして現状を把握する役割を担っています。また、犯罪や非行の発生を未然に防ぐことを目的に、港区では毎年7・8月を“社会を明るくする運動”の強調月間として、青少年健全育成大会in六本木やみなと区民の集い等を実施しています。
▽どのような経緯で保護司の活動を始めたのですか。
出野:35年ほど前、学校のPTAとして、青山通りで行われた“社会を明るくする運動”のパレードを手伝ったことがきっかけです。その後、推薦を受けて始めることになりました。
針ヶ谷:学校のPTA会長を退任した後に、保護司の活動をしているPTAの元会長から勧められました。当時は右も左も分からない状態でしたが、今となっては、あのとき推薦していただけたことを心から感謝しています。
▽どんなときにやりがいを感じますか。
出野:担当した対象者の保護観察が無事に終了し、普通の生活に戻って更生されているのを実感したときが一番うれしいです。地元の学校で犯罪防止の話をする機会もあり、地域に貢献できることも喜びです。
針ヶ谷:保護司は、さまざまな事案の対象者との関わりの中で、大変貴重な経験をさせていただいており、活動の結果として、自分の見方や考え方が広がったと実感できるときです。
▽活動に当たって、心掛けていることはありますか。
出野:守秘義務を守ることです。また、保護司が出入りすることに対しての近所の目もあるので、その辺りは一番注意しています。
針ヶ谷:限られた期間で対象者の気持ちを変えることは簡単ではありません。だからこそ、こちらから何かを言うというよりは、まず、相手の話を傾聴して気持ちを確認することを大事にしています。それぞれ異なった背景を持つ対象者の気持ちに寄り添った上で、伝えるべきことをどう伝えればいいのかということに気を遣います。
▽活動を通して、ご自身が変化された点はありますか。
出野:活動をきっかけに、はじめは分区の人たち、そして区全体、都、と多くの人と知り合うことで視野が広がり、保護司としての心構えが高まりました。
針ヶ谷:活動を通して、対象者だけでなく、多くの人々との出会いがあり、新たな発見や、考えさせられることがたくさんありました。それらを参考に、少しでも自分自身の向上につなげていけたらと考えています。
▼港区更生保護女性会 鈴木晴美会長
▽更生保護女性会の活動内容について教えてください。
港区更生保護女性会鈴木晴美会長
刑事施設を出た後に帰住地を持たない人が自立するまでの間、一時的に生活する更生保護施設で支援をしたり、児童館等で行われる行事に参加したりしています。施設で食事を作ったり、イベントに参加したりして、対象者と交流します。保護司とはまた違う立場なので、より率直な話をしてもらえることが多いです。
▽どんなときにやりがいを感じますか。
対象者が楽しそうにざっくばらんに話をしてくださるとうれしいですね。また、対象者にお出しする食事のトレイ上に、「お帰りなさい」「お疲れさま」のようなメッセージカードを添えているのですが、その裏側にお礼が書かれているのを見つけるととてもうれしく、やっていてよかったと感じます。
▽活動に当たって、心掛けていることはありますか。
守秘義務を守ることです。他人にはなかなか言えないような過去を理解した上で、それでも関わってくれる人がいるということが、対象者たちの支えになっているのかなと思います。
▼港区BBS会 池亀莉子さん
▽BBS会の活動内容について教えてください。
4つの活動を行っています。対象者と1対1で接して自立をサポートする「ともだち活動」、少年院や児童養護施設等と連携して集団で交流する「グループワーク」、地域の奉仕活動等に参加する「社会参加活動」、地域の広報活動やイベントを通じて犯罪や非行のない明るい社会をめざす「非行防止活動」です。
大人とは違う「お兄さん、お姉さん」の立場だからこそ、正直に話せることもあるはずです。私たちの活動を通じて、対象者が前向きになったり、困難に寄り添ったりできればと思っています。
▽どんなときにやりがいを感じますか。
自分の取ったささいな行動を喜んでもらえるとうれしいです。活動を通じて、相手の成長や変化に触れられると大きなやりがいを感じます。また、今まで知らなかった新たな意見に出合える機会も多く、いい刺激を受けます。
▽活動に当たって、心掛けていることはありますか。
相手に対して「何かをしてあげる」というよりは、「共に歩む」というスタンスになることです。以前、対象者から「支援する側とされる側には、超えられない壁を感じる」と言われ、「してあげる」という気持ちが距離を生んでいたのかもしれないと気付きました。それ以降は、相手の声に耳をすませ、同じ目線に立って一緒に悩み、一緒に歩むことを意識しています。
問い合わせ:保健福祉課地域福祉支援係
【電話】3578-2378