- 発行日 :
- 自治体名 : 東京都八王子市
- 広報紙名 : 広報はちおうじ 令和7年7月1日号
市では、犯罪のない明るい社会をめざし、地域のボランティアの方々とともに更生保護などの活動を行っています。市内で検挙された人の約半数を再犯者が占めていることから、再犯防止のためには罪を犯した人たちの立ち直りに寄り添い、社会的な孤立を防ぐことが重要です。この機会に、地域での立ち直り支援について理解を深めてみませんか。
◆立ち直りを支える地域の更生保護ボランティア
◇保護司
犯罪や非行をした人たちが過ちを繰り返すことがないよう直接、指導や助言などを行い、立ち直りを見守っています。
◇更生保護女性会
少年院や刑務所への衣類・日用品の提供や、更生保護施設での料理作りなどを通じて、立ち直ろうとする人をサポートしています。
◇更生保護協力事業主会
犯罪や非行歴があることで、仕事に就くことが難しい人たちを雇用する民間の事業主によって組織された団体です。
◇BBS会 ※Big Brothers and Sisters Movement(ビッグブラザーズアンドシスターズムーブメント)の略
大学生を中心とした団体。勉強や農業体験、清掃活動などを通じ、生きづらさを抱える少年少女たちの再出発を支える活動を行っています。
◆地域で立ち直りを支える皆さんにお話を聞きました
◇地域で支える社会への第一歩
八王子地区保護司会 尾嵜 敏夫(おざき としお)さん
私たち保護司は、犯罪や非行を犯してしまった人たちが、社会の中で孤立し、再び罪を犯してしまうことがないよう、面談などを通して生活のようすを見守りながら、更生や社会復帰を支える活動を行っています。
家庭の事情や経済的な問題など、犯罪や非行の原因はさまざまです。安心して何でも話し合える信頼関係を築くため、面接では助言をするだけでなく、私自身の失敗談なども交えながら対等な目線で接することを心掛けています。
私たちが支える保護観察期間を終え、社会復帰をする対象者の姿を見た時、誰かの人生の再出発を支えられたんだと、とてもやりがいを感じます。地域のために何かしたいという思いを持った方が少しでも関心を寄せてくれたら良いですね。
◇働くことを通じて人生の再スタートを
八王子市更生保護協力事業主会 森屋 義政(もりや よしまさ)さん
私たち八王子市更生保護協力事業主会は、就業を通じて犯罪や非行をした人の社会復帰をサポートしています。協力してくれているのは、タクシー会社や介護施設、自動車修理工場など、さまざまな業種の31社の皆さん。現在は10社程で受け入れを行っています。これまでは建設業が多かったのですが、社会復帰をする方の選択肢が増えるよう、これまで培ってきた人脈をいかして活動の輪を広げてきました。
再犯防止のカギは「住む場所と安定した仕事」。希望の職種に就いても、環境に馴染めず継続的な支援が必要なこともありますが、社会復帰できた人たちの話を聞くと、この活動をやっていて良かったと思いますね。立ち直りへの大きな一歩となるよう、これからも支援の輪を広げていきたいです。
◇行き場のない若者をサポート
八王子更生保護女性会 森﨑 陽子(もりさき ようこ)さん(右) 宮野 園恵(みやの そのえ)さん(左)
私たちは、刑務所などから出所した方や、行き場のない若者たちの生活の土台作りをサポートしています。市内の更生保護施設で食事を提供したり、入所者の方と一緒に料理を作ったりすることも、私たちにとって大切な活動の一つです。提供する食事は特別なものではなく、どこか懐かしい家庭の味を楽しんでもらえるよう工夫しています。
入所している方と話をしていて気付くのは、私たちと変わらない人だということ。ただ、なにかの行き違いで現在の境遇になってしまったという方がほとんどです。施設を出た方たちのその後を知ることはできませんが、一緒に過ごした時間や食事の味が心に残り、立ち直りのきっかけになってくれたら嬉しいですね。
◇兄・姉として成長に寄り添う
八王子BBS会 樫井 陸(かしい りく)さん
大学の講義がきっかけで知ったBBS会の活動。既に活動に参加していた先輩から、特別な資格がいらず、学生のうちから立ち直り支援に携われると聞き、参加することにしました。
支援を行うのはさまざまな課題を抱える少年・少女たち。学習支援や農作業体験、グループワークなど、彼らとのふれ合いを通じ、会員と話し合いながら健全な成長を応援するため活動しています。私たちの強みは、何といっても対象者と年齢が近いこと。相手の生活環境や気持ちに合わせ、学習の進め方や、会話の内容を工夫し、良き兄・姉として寄り添えるように心掛けています。
私たちの関わりによって、前を向いて歩いていく人たちを増やしていきたいーそんな思いで日々活動しています。
◆7月は「社会を明るくする運動」強調月間
「社会を明るくする運動」は、犯罪や非行を未然に防ぎ、犯罪や非行をした人たちの立ち直りを、地域社会全体で支えていく大切さを働きかける全国的な運動です。7月は「社会を明るくする運動」強調月間。市では、この運動を知ってもらうため、さまざまな活動を行います。期間中の取組など、詳しくは市のホームページ(右の二次元コード(本紙参照))からご覧ください。
◆運動を知ってもらうための活動
◇図書館のテーマ展示
内容:「更生保護」や「再犯防止」をテーマにした図書の展示・貸出
日時:7月2日~8月4日
会場:生涯学習センター図書館
◇駅頭一斉広報クリーン活動
内容:啓発活動やごみ拾いなどによる広報活動
日時:7月5日(土) 午前11時~正午
会場:八王子駅、京王八王子駅、高尾山口駅、南大沢駅
◇みんなに届け!私たちのメッセージ
内容:作文コンテストの受賞者表彰・作文発表、講演など
日時:7月21日(祝) 午後1時~3時45分
会場:いちょうホール
◇「絹の舞」をライトアップ
7月14~21日の日没から午後11時まで、八王子駅北口マルベリーブリッジ上の「絹の舞」を、「社会を明るくする運動」のシンボル「黄色い羽根」にちなんで黄色にライトアップします。
市では、地域力を活かし、犯罪のない社会を推進するため、令和3年に「再犯防止推進計画」を策定。今年3月には第2次計画を策定し、地域のさらなる安全・安心なまちづくりに向けた取組を推進しています。計画は市役所1階防犯課、市のホームページ(右の二次元コード(本紙参照))などからご覧いただけます。
問合せ:防犯課
【電話】620・7395【FAX】620・7322