- 発行日 :
- 自治体名 : 東京都青梅市
- 広報紙名 : 広報おうめ 令和7年3月15日号
■卒塔婆
市文化財保護指導員 沖 祐昭
卒塔婆(そとうば)は、仏具の一種で、故人の追悼のために用いる木製の長い板のことで、板塔婆とも呼ばれ墓所内に設置します。その起源は五重塔などの仏塔にあります。例をあげますと京都醍醐寺の五重塔が醍醐天皇、山口瑠璃光寺(るりこうじ)五重塔が守護大名大内義弘の菩提(ぼだい)を弔う目的で建立したものです。やがて塔の平面化および小型化が起こり、身近な供養の方法のひとつとして広まっていったのが卒塔婆と言われています。
卒塔婆にはいくつか種類があり、石を材料とする石塔婆(板碑(いたび))、木材から作る板塔婆・経木塔婆・七本塔婆などがあります。板塔婆は主にモミを材料とし法事やお盆、お彼岸の供養に用いられ墓地でよく見かける卒塔婆です。経木塔婆はスギやヒノキを薄く削ったもので関西でよく使われます。七本塔婆は極小の板塔婆を7本並べ周囲を枠で囲い屋根をつけたもので、四十九日までの供養に使われます。
板塔婆の亜種として「流れ塔婆」というものがあり、三十三回忌にのみ用い、板塔婆の上部を加工する際に枝葉を残して仕上げたものです。これは他の地域では見聞きしたことがなく、青梅地域独特のものかと思われますが、最近ではほとんど見かけることはなくなりました。
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