- 発行日 :
- 自治体名 : 東京都八丈町
- 広報紙名 : 広報はちじょう 2025年12月号
■台風による水道被害と復旧の裏側 東京都水道局・吉冨さんに聞く、現場での奮闘と今後への思い
台風22号・23号により、島内各地で水道設備にも大きな影響があり、一時は長期の断水が見込まれました。しかし、水道局の皆さんの昼夜を問わない復旧作業によって、発災からおよそ1か月でほとんどの地域へ水が届くまでに。
現場で奮闘された東京都水道局総務部水道危機管理専門課長の吉冨さんに、当時の様子や想いを伺いました。
▽“道なき道”を越えて
台風直後は道路が崩れ、施設へたどり着くことすら困難な状況でした。それでも、町水を熟知している町職員が現場までのルートを案内。そうして、吉冨さんたちは徒歩で山を越え、ようやく水源地へとたどり着きました。
また、現場では、どの地点で水が漏水しているのかを確認するため、一軒一軒バルブを開け閉めしながら調査。漏水の音を頼りに原因箇所を突き止めていったといいます。「見えない場所の損傷ほど厄介で、神経を集中して漏水調査を行いました」と吉冨さん。
さらに、一時的に利用が少なかった井戸水を増やして取水し、浄水場へ送るなどの工夫も行いました。「普段は補助的に使う井戸水も、今回は大きな支えになりました」と話します。
▽住民の声が現場の力に
長引く断水の中、町民の方々から温かい言葉が多く届きました。ある住民からは「断水中は大変な生活でしたが、給水箇所が広がっていくことが日々の希望でした。今は蛇口から水が出る生活に戻り、水道局の方々に感謝しています」という手紙も寄せられました。
「蛇口から水が出た瞬間、“ありがとうございます”と声をかけてくださる方が多くて。昼夜を問わず対応no.9していたので、その言葉がとても励みになりました」と吉冨さんは微笑みます。現場では、住民一人ひとりの思いが復旧作業を後押ししていました。
▽今後の活動について
現在、導水管の寸断により、大川浄水場と安川ポンプ所から直接各家庭への供給ができないため、一時的に大賀郷浄水場や洞輪沢浄水場から各家庭へ水を運んで供給しています。
今後は、大川浄水場と安川ポンプ所からも各家庭に水を届けられるよう復旧を進めていきます。作業の際には、住民の皆さんにご協力をお願いすることもあるかと思います。その際は、どうぞご理解・ご協力をよろしくお願いします。
最後に吉冨さんは、「多くの方の支えでここまで復旧できました。島の“命の水”を守るために、これからも努力を続けていきます」と語ってくれました。
生活していくうえで欠かせない“水”。災害復旧のために尽力する水道局の姿を知ることができた今回のインタビューは、12月には島内全域へ水が供給されることを願い、ここで締めくくります。
問い合わせ:企画財政課企画係
【電話】2-1120
