- 発行日 :
- 自治体名 : 東京都八丈町
- 広報紙名 : 広報はちじょう 2025年10月号
■町の隅々まで「安心」を届ける 災害対応用飲料自販機に込めた想い
災害時に少しでも役に立てれば――。
そんな思いで、三根の酒屋「山田屋」の山田さんが、末吉の町営施設に災害対応用飲料自販機を設置してくれました。
▽災害対応用飲料自販機とは?
有事に飲料を無償で提供できる自販機。避難所になり得るところや町の重要拠点に設置しておくことで、初動時の水分補給を支援。
▽“安心”を届ける、島出身の酒屋店主
八丈島出身の山田達人さんは、22年前に酒屋『山田屋』をスタート。現在は島焼酎や全国各地の銘酒に加え、オーガニック食品やこだわりの逸品も扱う「おしゃれなセレクト酒屋」として人気を博しています。
そんな山田さんが、災害対応用飲料自販機の設置に踏み切った背景には、地域への深い思いがありました。
「自分の店で、自分の出来る範囲で、『町のための自販機』を設置しようと思ったんです」と語る山田さん。
今回の設置場所は、末吉地区にある町営施設『八丈島の海・山・暮らし館』。普段は人通りの少ないエリアですが、先日の津波警報や台風の時には自主避難所になった重要な場所です。
「そこに“水がある”ことが、どれだけの安心につながるか――それを伝えたかったんです」と、山田さんは話します。
▽能登半島地震が背中を押した
山田さんが本格的に災害対応用飲料自販機を検討するきっかけになったのは、これまで日本各地を襲った大災害、とりわけ近年の能登半島地震でした。
「物資がなかなか届かず、飲料を確保するのも大変だったという話を聞いて…。自販機がもっと活用できれば、命をつなぐ手段になるのではと考えました。」
この『山田屋プラン』は数年前から温めていた構想で、自販機メーカーとも長く協議を重ねてきました。導入には幾多の課題もありましたが、メーカー側がCSR(企業の社会的責任)の一環として取り組みに同意し、山田屋とメーカーの費用折半によって実現。
町にも提案を行い、調整の末、正式に採用されました。
▽防災も、日常のなかから
「小売店って、町のいちばん生活に近い場所だと思うんです。だからこそ、自分にできる範囲で防災にも関わっていきたい。大きなことじゃなくていい、地道に、続けていくことが大切だと思っています。」
そう語る山田さんは、日々の営業でも「お酒を売る」だけではなく、人々とつながる場を目指しています。お話を伺った日も、店には地元の方はもちろん、観光客も次々と訪れていました。
▽編集後記
「そこに水がある」。その安心が、きっと町を守る力になる。
防災の一歩を、自分のアイデアと実行力で形にした山田さん。
「地元力が支える町の安全」、これからも応援します。
山田さん、ありがとうございました!
構成:八盛隊
問い合わせ:企画財政課企画係
【電話】2-1120
