文化 金澤歴史 万華鏡~県立金沢文庫へのいざない

■第七十三回 「金沢文庫」創設750年記念に寄せて
県立金沢文庫 学芸員 貫井 裕恵(ぬくい ひろえ)

今から七五〇年ほど前、北条実時(一二二四~七六)は金沢文庫を創設します。金沢北条氏三代にわたって蒐集(しゅうしゅう)された書物はそこに納められ、これらは“金沢文庫本”と呼ばれて、貴重な古典籍群として有名です。
室町時代以降、“金沢文庫本”は、多くの人びとに熱望されます。徳川家康(一五四三~一六一六)もその一人で、積極的に“金沢文庫本”を蒐集しました。そして、家康が集めた“金沢文庫本”を含む優れた古典籍は、のちに尾張徳川家初代となる息子の義直(一六〇一~五〇)へ「駿河御譲本(するがおゆずりぼん)」として受け継がれ、その多くは現在、名古屋市蓬左(ほうさ)文庫に納められています。
本展覧会では、県立金沢文庫と名古屋市蓬左文庫が連携し、“金沢文庫本”の歴史をご紹介いたします。蓬左文庫蔵の“金沢文庫本”五件すべてがお里帰りする、またとない機会です。ぜひお見逃しなくどうぞ。

◇重要文化財
たまきはる(建春門院中納言記)
鎌倉時代 県立金沢文庫
金沢文庫に収蔵された書物には「金沢文庫印」が押されています。

◇国宝 金沢貞顕像
鎌倉時代 称名寺(県立金沢文庫保管)
金沢 貞顕は平安時代の女官の回想録である『たまきはる』を書写させました。

■「金沢文庫」創設750年記念 特別展「金沢文庫本―流離(さすら)う本の物語―」
日時:11月14日(金)~1月18日(日)9時~16時30分(入館は16時まで)
費用:一般800円(700円)、20歳未満・学生600円(500円)、65歳以上200円、高校生100円、中学生以下・障害者は無料
※()内は20人以上の団体料金
休館日:毎週月曜日、12月28日(日)~1月5日(月)

問合せ:県立金沢文庫(金沢町142)
【電話】701-9069【FAX】788-1060