くらし [特集]多くの人が楽しめる競輪場を目指して(1)

「ギャンブル場」から「憩いの場」への転換を図り、さまざまな取り組みを進めている平塚競輪場「ABEMA(アベマ)湘南バンク」。イベントの充実や場内施設の貸し出しなどで、市民に開かれた親しみやすい競輪場を目指しています。今号では、競輪場の取り組みや市民生活などに還元される収益、歴史などを紹介します。

用語解説:
・本場開催…平塚競輪場でレースがある。生のレースを観戦できる
・場外開催…他の競輪場でのレースを平塚競輪場で生中継。平塚競輪場内でも車券を購入できる。

◆地域に開かれた競輪場
柔道などとともに、日本生まれのオリンピック種目に選ばれているケイリン(競輪)。トップクラスの選手になると、ゴール手前のスピードは時速70キロメートル以上にもなります。ABEMA湘南バンク(平塚競輪場)は、来場者がその迫力あるレースを観戦したり、選手を目指す若手が練習に励んだり(1面)している施設です。市事業課の土方諒主任は、「平塚競輪場を拠点に練習に励む地元の選手も出場します。白熱するレースを一度、間近で体感してもらいたいです」と話します。

◇全国一の来場者数
「本場開催に併せて、有名人を呼んだステージイベントなどを開いています。気軽にお越しください」と続ける土方主任。競輪場と聞くとギャンブル場を連想する方もいるかもしれません。しかし、平塚競輪場の本場開催は、そのイメージと大きく異なり、アミューズメント施設として楽しむ多くの人がいます。「幅広い層の方に来場してもらえるよう、趣向を凝らして企画しています」と説明します。子どもに人気のヒーローショーや家族で楽しめる動物触れ合いイベントの他、お笑いステージやアイドルライブなど、1年を通し、さまざまなイベントをしています。土・日曜日と祝日の本場開催でイベントがある競輪場は、全国的にも珍しいそう。「一度も競輪場に来場したことのない方が足を運ぶきっかけになったらと思います」と期待を込めます。
来場者からの要望も取り入れ、入場料の無料化や遊具の設置も実現。競輪ファン以外も、より気軽に遊びに来られる場所になりました。インターネット投票の普及で全国的に競輪場への来場者が減る中、平塚は全国一の来場者数を誇っています。

◇広い用途で利用できる
もっと地域に親しみを持ってもらえるよう、施設の貸し出しもしています。開催がない日には、正門前広場などを開放。消防団が訓練に利用するなど、用途は競輪事業に限りません。
さらに平塚競輪場では、市内の小・中学校の校外学習や保育園の遠足、公民館事業での見学も受け入れています。地元選手の協力の下、選手と子どもたちが触れ合う機会もつくります。「競技の魅力や、競輪が社会貢献につながっていることを知り、競輪場を身近に感じてもらう機会づくりを大切にしています」。

◇平塚と自転車競技
競技の観戦・若手の育成・イベントなど、多様な用途で活用される施設となっている平塚競輪場。この施設が平塚に建設されたのには、二つの歴史的な背景がありました。
一つは自転車競技が、平塚で元々盛んだったこと。明治時代から自転車競技大会やロードレースが開かれていました。当時活躍した選手たちが第2次世界大戦後、自転車競技の再建に尽力。後進の育成に当たっていました。
もう一つは平塚が戦災都市だったことです。昭和24年、国が復興財源確保などに向け、戦災都市に競輪場の開設を許可しました。平塚は、昭和25年9月、全国最後の55番目の競輪場として認可を受けます。競輪場の収益は戦災の復興財源となり、学校の建設・住宅の供給・福祉事業の援助などに寄与してきました。

◇収益をまちに還元
開設から75年たった現在も、収益は平塚のまちに還元され続けています。これまでに累計1062億円以上を市の財政に繰り出しています。「平塚競輪場は、競輪の収益で市の財政に寄与するだけでなく、地域経済の活性化や雇用の確保でも社会貢献してきました」と土方主任。「幅広い世代が楽しめるイベントや施設の貸し出しなど、競輪場での事業は、『まちへの還元』につながっているんです」と説明します。
また市への繰出金の他に、売り上げの一部は、ものづくり・スポーツ・地域振興など、社会に役立つ活動にも使われています。競輪業界全体の売り上げの一部を活用した、自転車競技法に基づく補助事業です。今年は、市内の社会福祉施設の特殊浴槽が整備されました。

◇また来たいと思ってもらえる場所
積極的なイベント開催による集客力や社会への貢献度の高さ、施設の快適さや機能などが評価されている平塚競輪場。KEIRIN(ケイリン)グランプリの開催地に選ばれたのは今年で10回目です。「競輪界最高峰のレースが平塚で開かれます。今年のグランプリならではの演出やイベントを、ぜひ現地でお楽しみください」。