文化 あつぎ郷土博物館連動企画 學藝員のススメ 第68回

博物館の学芸員が、あれこれを語り倒すコーナー。

■「地域再発見!荻野地域」荻野の古文書
飯田 好人
開催中の地域展では、荻野山中藩の資料と「千葉家文書」、「荻野神社資料」を中心に荻野地域の信仰に深く関わる古文書を展示しています。
「千葉家文書」は、下荻野の子合にあった修験道の寺院「光善院」「量宝院」の古文書群です。光善院は、1872年に出された修験道禁止令で天台宗の寺院となりました。秘蔵の仏像などを公開する出開帳をするなど積極的に活動を続けましたが、97年頃に廃寺となりました。
写真の古文書は、「九字之大事(くじのだいじ)」という免許状で、1742年に師僧から光善院10世浄賢に授与されたものです。古文書には、邪気を払う呪文を意味する「臨兵闘者皆陳烈在前(りんぴょうとうしゃかいじんれつざいぜん)」と、対応する手印が記されています。修験者は、この9文字と9種の手印を結び、魔除けや災いを取り除く「九字切り」をしました。ぜひ博物館で実物をご覧ください。

※写真は本紙をご覧ください。

問合せ:あつぎ郷土博物館
【電話】225-2515