文化 あつぎ郷土博物館連動企画 學藝員のススメ 第71回

博物館の学芸員が、あれこれを語り倒すコーナー。

■東鑑が語る鎌倉の真実
山岡 裕子
皆さんは『東鑑(あずまかがみ)』を知っていますか。鎌倉幕府が編さんした公式の歴史書で、平安時代末期から鎌倉時代中期までの出来事を、将軍の年代順にまとめたものです。
内容は、合戦や政治といった歴史的な出来事の記録にとどまりません。源頼朝の娘・大姫が病を患った際に頼朝が病気平癒を願って寺社に参詣した記事、その道中で家臣の大江広元から「駄飼(だしょう)」と呼ばれる弁当を振る舞われたことなどのエピソードも記されています。北条氏と三浦氏が争った「宝治合戦」では、広元の四男である毛利季光が、当初は北条方に付こうとしますが、「若州(三浦泰村)を捨て、左親衛(北条時頼)の味方をすることは武士の致すところか」と妻に諭され、三浦方への加勢を決意したという人間味あふれる話も残されています。
当時の武士たちの暮らしや考え方、日常の営みが記された歴史書の世界にぜひ、触れてみてください。

問合せ:あつぎ郷土博物館
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