- 発行日 :
- 自治体名 : 神奈川県厚木市
- 広報紙名 : 広報あつぎ 第1457号(2025年10月15日発行)
博物館の学芸員が、あれこれを語り倒すコーナー。
■相模国地震図瓦版
飯田 好人
現在開催中の企画展では、市内を襲った災害を地震・神鳴(かみな)り(水害)・禍事(かじ)(火災・富士山の噴火)・やまひ(病)の4つに分類し、資料を展示しています。
今回は、1853年3月に小田原で起きた地震の被害を伝える「相模国(さがみのくに)地震図瓦版」を紹介します。この地震は「嘉永小田原地震」と呼ばれ、推定震度7の揺れは、遠く離れた江戸や水戸でも感じられたそうです。文末に「一紙にくわしくしるす」とある通り、市内の荻野山中から静岡県の沼津まで、被害を受けた地域が瓦版に収められています。さらに「いく度といふ数をしらずといへども、大ゆれにいたせし事、五度」と、余震が続き、大きな揺れが5回あったことも記録されています。同地震を記録した瓦版は全部で3種類。博物館で所蔵する瓦版には小田原宿で起きた火災などが描かれており、被害状況が明らかになってから刷られたものと推測されます。
展示は11月30日までです。
問合せ:あつぎ郷土博物館
【電話】225-2515
