子育て [特集]知ってください、保育の仕事(1)

保育士の資格を持っているのに、現場で働いていない人は全国に100万人以上。
結婚、出産、職場環境―
理由はさまざまだけれど、本当はもう一度、子どもたちと向き合いたいと思っている方も、きっといるはずです。

今、箱根町では保育者(保育士・幼稚園教諭・保育教諭)の確保が課題となっています。

経験のあるあなたも。
資格を持ちながら、今は離れているあなたも。

保育の仕事に、ちょっとだけ興味があるあなたも。
この町には、“あなた”が必要です。

今回の特集では、保育者の現状に迫りながら、保育という仕事を深掘りします。

■全国の保育士の状況
今、日本全国で保育士不足が深刻化しています。
厚生労働省によれば、保育士資格を持つ人は全国で約180万人にのぼりますが、実際に保育現場で働いているのは、およそ半数以下の70万人。
資格は持っているのに保育士として働けない。
そんな〝潜在保育士〟が増えています。

■中学・高校生女子にはなりたいものランキング上位の保育者
中高生女子の「大人になったらなりたいものランキング」では、高い人気があります。

《中学生女子》
1位:会社員
2位:漫画家・イラストレーター
3位:幼稚園の先生・保育士

《高校生女子》
1位:会社員
2位:公務員

5位:幼稚園の先生・保育士
〈第一生命保険株式会社「大人になったらなりたいもの」アンケート〉(令和6年3月26日)より引用

男性保育士も平成11年に児童福祉法の改正により「保母さん」から「保育士」と呼称変更されたことで大幅に増えています。しかし、潜在保育士が増加している背景には、仕事のハードさや、待遇面の課題など、いくつもの要因があります。子どもたちの命と育ちを預かる大切な仕事でありながら、給与水準は全職種平均を下回り、人手不足による業務の過重化が、さらに現場を追い込んでいるのが現実です。
また、近年は共働き家庭の増加や保育の無償化などを背景に、保育ニーズそのものが拡大。都市部だけでなく、地方でも「定員は空いているのに、保育士が確保できず開園できない」ケースが生じています。

■応募状況も減少傾向に
近年、保育者の需要が高まる一方で、応募者数が伸び悩むという課題が顕著になっており町の職員採用においても、ここ数年同様の状況が続いています。
前述の待遇面の課題に加えて、保育土資格の取得が容易ではないことや、保育者不足が深刻化する中で、保育現場の負担が増加していることも、応募者数を減少させる要因となっています。
町では会計年度任用職員を多く雇用したり、事務作業のシステム化を行い、負担軽減なども図っていますが保育者不足は、担当する人数の増加による保育者の負担増、保護者の園選びの困難さなど、様々な問題を引き起こします。
そのことが、保育者の離職率を高め、悪循環を生み出すことも懸念されます。

■保育者は社会の起点を担っている
保育の現場があるからこそ、子どもを安心して預けられることで、保護者は仕事や社会活動に参加できる――その支えとなっているのが保育者です。
今、求められているのは、保育者が安心して働ける環境と、「やってみたい」と思える空気をつくること。その一歩は「現状を知ること」から始まります。

■Q.箱根町の保育者として、どんな人が向いていると思いますか?
また、保育で大切にしていることを教えてください。

▽仙石原幼児学園 園長 小山千恵美
まずは「箱根が好き」「子どもが好き」「人と関わることが好き」──
そんな気持ちを持っている方に来ていただけたら嬉しいです。全部に当てはまっていなくても、どこかに共感してもらえたら十分です。私たちが目指しているのは、町全体の合い言葉にもなっている「箱根を愛し、かしこく、やさしくたくましい子ども」の育成です。そのために園では、箱根の自然や風土を生かした安心・安全な魅力のある保育環境を整え、子どもの思いや意欲に共感し、実体験の積み重ねから心の豊かさを育み、家庭と共に子どもの成長を喜び、支えていくことを大切にしています。

■One Day at Teacher[先生の一日]
保育者の仕事は、朝から子どもたちの笑顔に囲まれる一方で、裏では多くの準備や気配りが求められる繊細な仕事でもあります。
子どもたちが笑顔で心地よく過ごせるために、どんな1日を過ごしているのでしょうか?
保育者さんの1日をのぞいてみました。

※コドモン…保育システムの名称。スマホアプリやタブレット端末で登降園や連絡帳などの情報管理・発信ができる。
※1号認定…3歳以上で教育を希望する児童。
※2号認定…3歳以上で保育が必要な児童。
※3号認定…3歳未満で保育が必要な児童。

◇8:25[打ち合わせ]
その日の連絡事項等を職員同士で、共有します。(コドモンで出欠確認)※

◇7:30〜9:15[登園]
子どもたちを出迎えます。朝の身支度の支援をします。

◇9:30[乳児おやつ]
水分補給とおやつを食べます。
おやつの配膳、月齢に合わせた支援をします。

◇9:30〜11:30[室内・室外遊び]
年齢に応じてさまざまな遊びを実施。楽しみながら自主性や協調性等を育みます。

◇11:30[給食]
個々のアレルギー、好み、量を調整して配膳。食事の支援をします。

◇12:30[お昼寝](0〜3歳)
子どもたちが寝ている間は連絡帳の記入などをします。

◇13:45[帰りの会](3〜5歳)
子どもと一日の振り返りをし、明日の遊びへの期待を膨らませます。

◇14:00[1号認定降園後合同保育]
2号、3号認定の子どもは、就労に合わせて随時降園します。※

◇15:00[おやつ]
子どもが一番楽しみにしている時間です。

◇16:00〜18:30[降園]
保護者に園での様子を伝え、子どもたちを見送ります。そのあと保育の振り返り、職員同士の共有、コドモン配信や打ち合わせを行います。

■数字で見る箱根町の保育者事情
◇お休み事情:年間12.0日
「特定事業主行動計画(後期)」に掲げる年次休暇取得日数の数値目標「12日」に達していることから、仕事と生活のバランス◎。

◇お財布事情
40歳代平均:34~35万円+手当(住居、通勤、地域など)
全国平均の29~30万円と比べると手厚いことが分かります。さらに手当や奨学金制度(詳細は本紙P.8)があるのでさらに手厚い!

■募集
◇保育所等の見学をしてみませんか?
園の見学をして、自分の目で保育者の働き方、雰囲気や子どもたちの様子を確認しておくことがおすすめです。

申込先:子育て支援課
【電話】85-9595

◇夏休みのアルバイト大募集!
勤務内容:保育士・保育教諭補助
勤務条件:
・7月下旬から9月中旬まで
・勤務時間や日数は要相談
・時給1,274円
・交通費実費支給

問合せ:先子育て支援課
【電話】85-9595