- 発行日 :
- 自治体名 : 富山県高岡市
- 広報紙名 : たかおか市民と市政 2025年7月号No.237
■自宅で最期を過ごすということ
人生の最期の時間をどこで過ごしたいですか?自宅で過ごしたいと思っていても、実際には自分でトイレに行くことができなくなり、家族に迷惑をかけたくないから、入院と考える人が多くおられます。体が動かなくなり、人に排泄の世話になることは仕方のない自然な経過であり、「迷惑」なことではないはずです。親しい人の死ほど悲しいことはありませんが、家族は弱ってきている姿を間近に見ることで、別れは悲しいことだけれども死が自然なことなのだと実感していきます。また自分の死ほど怖いものはありませんが、年を重ね子がその順番になった時に、看取った親の姿を思い出して、「親が死んでいったように自分も逝くのだろう」と自らの運命を受け止めるようです。親が弱りゆく自分の姿を子に見せることは、親が子に残すことのできる、大きな贈り物なのです。訪問看護・介護など生活のしやすさ支援を受けることで、どんな状態であっても自宅で過ごすことができます。衰えゆく姿を病院に隠すのではなく、自宅で最期を過ごすことは、あなたにとっても家族にとっても豊かな時間になるのです。
高岡市民病院 緩和ケア内科主任部長 礒部博隆