- 発行日 :
- 自治体名 : 富山県氷見市
- 広報紙名 : 広報ひみ 令和7年11月号
■「五榜(ごぼう)の掲示(けいじ)」
〜明治新政府、最初の高札(こうさつ)〜
11月9日(日)まで氷見市立博物館で開催している特別展「ひみのたからもの―能登半島地震と文化財レスキュー―」では、被災家屋からの文化財レスキューを通じて、博物館が新たに収蔵した資料を初公開しています。
今回紹介するのは、そのうちのひとつ、いわゆる「五榜の掲示」と呼ばれるものです。時代劇などで、木の板に法令などを書いた高札を掲示する高札場の様子をご覧になったことがある方もいらっしゃると思いますが、そうした高札の一種です。
「五榜の掲示」は、慶応四年(明治元年、1868)三月、明治新政府から民衆に初めて出された禁止令で、その名のとおり五枚の高札で構成されます。文化財レスキューでは、葛葉村で掲示された「五榜の掲示」を確認しました。
現存するのは第一札から第三札までの三枚で、これらは「定三札(じょうさんさつ)」として永年掲示とされた分にあたります。その内容としては、第一札が五倫道徳の遵守、第二札が徒党・強訴・逃散の禁止、第三札が切支丹・邪宗門の禁止です。これらは明治新政府の民衆政策を記したものでしたが、明治六年(1873)には高札制度とともにすべて廃止されました。
「五榜の掲示」廃止から一五〇年余り、その間、蔵の中で眠り続けていた資料ですが、令和6年能登半島地震と文化財レスキューをきっかけに、また多くの人びとの目に触れることになりました。氷見も幕末から明治の激動の時代とは無関係でなかったことを教えてくれる資料といえるのではないでしょうか。
(博物館主査 廣瀬直樹)
問合せ:博物館
【電話】74-8231
