健康 砺波総合病院から

病院のHPもご覧ください。

■がんの痛みと薬
薬剤科
主任 酒井 由貴江

痛みがある生活は嫌なものです。痛みがあると何をするにも痛みが気になり、日常生活も過ごしづらくなります。痛みで夜中に目が覚めてしまったり、仕事や家事が進まなかったりします。気分が落ち込んでしまうこともあります。少しでも日常生活を過ごしやすくするために、痛みが和らぐよう治療していくことが大切です。

がん患者さんが感じる痛みには、(1)がんによる痛み、(2)がんの治療による痛み、(3)がんに直接関連しない痛みがあります。がんによる痛みとしては、がんの広がりや転移によって生じる痛みがあります。がんの治療による痛みとしては、手術による痛みや、放射線治療・抗がん剤治療による副作用症状で痛みが生じる場合があります。がんに直接関連しない痛みとしては、頭痛や関節炎、長期臥床(がしょう)による体の痛みなどがあげられます。痛みの原因を検査などで確認し、原因に応じて治療します。
痛みの治療には薬物療法や放射線療法などがあります。薬物療法では痛み止めの薬を主に使用します。痛み止めにはいくつか種類があります。解熱鎮痛薬は、頭痛や腰痛などでも使われる一般的な痛み止めです。オピオイドと呼ばれる痛み止めもあります。オピオイドの多くは医療用麻薬であり、解熱鎮痛剤だけではとれない痛みを和らげることが期待できます。神経を介した痛みを和らげる薬もあります。痛みの性質に応じてこれらを使用します。
医療用麻薬と聞くと怖い気持ちになる方がおられます。中毒になるのではないか、やめられなくなるのではないか、命を縮めてしまうのではないかといったマイナスなイメージをもたれる方もおられます。適切に使用すれば中毒にはなりませんし、命を縮めることもありません。
痛みの治療には、患者さん本人から痛みの状態について教えていただくことがとても大切になってきます。どこがどんなふうに痛いのか。今飲んでいる薬は効いているのか。わかるのは患者さん本人だけです。痛みを適切に治療していくために、ぜひ教えてください。
また、痛み止めは飲み薬だけでなく、坐薬や貼り薬、注射薬などもあります。飲み薬も錠剤だけではなく、粉薬や水薬などもあります。飲みづらさなどがある場合、他の薬に変えることもできますのでご相談ください。

問合せ:砺波総合病院
【電話】32-3320