- 発行日 :
- 自治体名 : 富山県入善町
- 広報紙名 : 広報入善 2025年3月号
本年度の町中学生カンボジア王国派遣事業の使節団
14人(生徒10人、引率者4人)が、1月13日~18日までの日程で、カンボジア王国シェムリアップ州を訪れ、日本と異なる生活文化に理解を深めました。
カンボジア派遣事業は、ふるさとの中学生に異文化体験を通して国際理解力を高めてもらおうと、道市出身で町名誉町民の泉英ひであき明さん(さいたま市在住)からの寄付を受け、平成18年度から実施しています。
山本日本語学校の学生や、中学校の生徒たちとの触れ合いや、現地に残る紛争の爪痕から、多くのことを学んだ団員たち。
ここでは、生徒それぞれが「学んだこと」を紹介します。
・下田 旺史朗(おうしろう)さん
(入善西中2年)
アンコール・トムにある、昔の人たちの暮らしを描いた壁画が、1万人以上の人の手で彫られたことや、他の遺跡と比べ物にならないほどのアンコール・ワットの大きさに驚いた。どの遺跡にも紛争の傷跡が残っており、紛争の恐ろしさを強く実感した。
・小林 奈未(なみ)さん
(入善西中2年)
現地の中学生とは、言葉が伝わらなかったり、聞き取れなかったりすることも多かったが、写真やジェスチャーを使ってコミュニケーションが取れた。カンボジアは発展途上で不便さはあるが、日本よりものびのびしていると感じ、見習いたい面が多かった。
・藤井 結梨(ゆうり)さん
(入善西中2年)
シェムリアップ市のオールドマーケットで買い物するときは、ほとんどの商品に値段が書かれておらず、店主と値段を交渉するスタイルだった。交渉は初めてで、店主も粘り強かったが、値下げしてもらえるよう、負けじとがんばったのはいい経験になった。
・福島 朱晴(すばる)さん
(入善西中2年)
カンボジアの子どもたちや青年たちの明るさと積極性に触発されて、どんどんコミュニケーションを楽しめたことが特に印象に残った。彼らとは連絡先を交換することができ、今でも連絡を取り合っている。現地で友達を作るという目標が達成できてよかった。
・鈴木 莉子(りこ)さん
(入善西中2年)
都市部はきれいだが、郊外では裸の幼児や野犬がいたり、道の脇にごみが捨てられていたりと差に驚いた。多くの難民が水上生活をするトンレサップ湖では、汚水が湖に流れ、その水を生活用水にしている様子を見て、日本が恵まれていることを再認識した。
・愛場 花穂(かほ)さん
(入善中2年)
内戦で失われつつあったクメール織の技法復活と貧困層の支援のために、日本人の森本喜久男さんが開いた村である「伝統の森」で染物体験をした。村で働く女性たちの、設備が万全には整っていない中でも与えられた仕事を懸命にやりとげる姿に心を打たれた。
・砂田 結衣(ゆい)さん
(入善中2年)
フンセンワットスバイ中学高校で、2,000人もの生徒たちが出迎えてくれたことが印象的だった。英語での交流では伝わらないこともあったが、現地のおすすめスポットを教えてもらえた。言葉がわからなくても伝えようとする気持ちが大切だと学べた。
・親田 唯(ゆい)さん
(入善中2年)
約5,000か所あるカンボジアの遺跡のうち、「アンコール・トム」「タ・プローム」「アンコール・ワット」を見学した。アンコール・トムの壁に施された「昔の兵士と一般人の生活」の生活を描いた彫刻には、深い思い入れがあることを知り、特に感動した。
・水島 陽菜(ひな)さん
(入善中2年)
山本日本語学校では、現地の生徒と日本語で交流した。カンボジアの魅力や特徴などを教えてもらい、こちらからは海洋深層水や入善ジャンボ西瓜など、入善町の魅力を紹介した。現地でも有名な日本のヒット曲に合わせて、一緒にダンスをしたことが思い出に残った。
・中村 美優(みゆ)さん
(入善中2年)
フンセンワットスバイ中学高校で交流した中学生たちの英語が、驚くほど流ちょうで衝撃を受けた。学ぶ条件は同じなのに、自分よりはるかにうまく英語を話す姿に刺激され、もっと英語を勉強し、また会えたときに成長した自分を見せたいと思った。
◆使節団の日程
・1月13~14日…入善町からシェムリアップ州へ移動
・15日…アンコール・ワットなど3遺跡を見学
・16日…フンセンワットスバイ中学高校で中学生と交流、クメール伝統織物研究所を見学
・17日…山本日本語学校、オールドマーケット、トンレサップ湖を見学後、出国・帰路に。機内泊。
・18日…入善町に到着。解団式を実施。
●カンボジア王国
ベトナムとタイ、ラオスに接する東南アジアの国。首都はプノンペンで、面積は日本の約半分。人口は約1,690万人(2023年)で国民の約9割がカンボジア人)です。
アンコール・ワットなどの世界遺産で有名な同国は、13世紀までインドシナ半島の大半を支配しましたが、周辺国の攻撃で国力が衰退すると長く植民地に。1953年の独立後は、権力争いで内戦が起こり、90年代まで紛争が頻発しました。
現在、治安や経済の面では内戦からの復興が進む一方、地域格差が大きく、貧困が社会問題となっています。