- 発行日 :
- 自治体名 : 石川県七尾市
- 広報紙名 : ななおごころ 広報ななお 令和7年(2025)6月号
平成5年に「能登地域唯一の総合美術館」として開館した石川県七尾美術館は、今年で開館30周年を迎えました。震災により臨時休館が続いていますが、秋に再開館を予定しています。
当館は、開館以来、七尾出身の長谷川等伯(1539~1610)を重要なテーマと位置付け、開館の翌年から「長谷川等伯展」を毎年開催してきました。今年は日本水墨画の最高傑作との呼び声高い等伯代表作の国宝「松林図屏風」(東京国立博物館蔵)を特別公開する予定です。
■今年の長谷川等伯展はここが見どころ!
(1)20年ぶりに「松林図屏風」を七尾で公開
「松林図屏風」が七尾で初めて展示されたのは、平成17年のことでした。所蔵先以外ではめったに公開されることのなかった同作品ですが、東京国立博物館の格別のご高配により展示が実現しました。
当館開館10周年と新七尾市誕生を記念して開催されたこの展覧会は、2週間という短い期間でしたが、約5万7000人もの来館者があり、七尾の街が大いに盛り上がりました。
(2)震災により救い出された等伯作品を紹介
令和6年能登半島地震は能登各地に甚大な被害をもたらしました。
本堂は倒壊したものの、金庫に入っていたため無事だった「日蓮聖人像」(珠洲市・本住寺蔵)や、同じく崩壊しかけの本堂からご住職によって救い出され、当館で緊急的にお預かりした「日蓮聖人坐像」(七尾市・本延寺蔵)などを展示します。
本展は、開館30周年を記念する展覧会として、震災前から準備を進めていました。
震災により出品の取り消しも心配されましたが、所蔵先の皆さんからは「頑張ってください」「もちろん協力します」というありがたいお言葉をいただきました。そこで、震災後に内容を一部変更し、震災現場から救い出された能登時代の作品を加え、「震災復興祈念」として開催することとしました。
能登・七尾はまだまだ復旧・復興の途中ではありますが、少しでも感動や元気を届けられるよう、「長谷川等伯展」の開催を目指して努めて参ります。
■展覧会情報
会期:9月20日(土)~10月16日(木)予定
休館日:9月30日(火)、10月7日(火)、14日(火)
観覧料:一般1000円(900円)・大学生350円(300円)
高校生以下は無料・( )は20名以上の団体料金
■おしえて学芸員さん 工事が終わってすぐに開館しないのはなぜ?
長谷川等伯の作品など文化財を公開する美術館・博物館施設は工事が終わっても、文化財にとって有害な物質が基準値を下回るまで「枯らし期間」を設けなければなりません。
問合せ:七尾美術館
【電話】53-1500