- 発行日 :
- 自治体名 : 石川県能美市
- 広報紙名 : 広報のみ 令和7年3月号
■今月のイッピン!「田辺帯山(たなべたいざん) 色絵花詰蝶図花瓶(いろえはなづめちょうずかびん)」
田辺帯山(辰次郎)は明治元年(1868)に金沢に生まれました。辰次郎は柏華渓(かしわかけい)の門に入り、陶画を学び19歳にして独立、号を帯山(または渓泉)としました。柏華渓は明治初期から中期にかけて貿易九谷の作品に優れた絵筆をふるった名工の一人です。九谷焼第一の巨商である寺井の綿野吉二(わたのきちじ)が貿易九谷の優品を製作するために名工を集めた際にも、金沢の名工として招聘(しょうへい)されました。帯山もその後、師と同じく綿野吉二の専属工人として輸出品の着画に十数年従事しました。また多数の工人徒弟を養い、常に産業的大量生産に精励、率先して電気窯を設置するなど、業界向上の功労や後継者の育成に努めました。
本作にみられる「花詰(はなづめ)」とは、素地全体に隙間なくさまざまな花を描き、さらに金で花の輪郭線を描く画風をいいます。大正2年(1913)ごろ、九谷焼に新たな表現の可能性をもたらすべく、金沢の名工である水田四郎によって導入されました。本作は新たな画風を花瓶に落とし込み写実的な麗筆をふるった、彩り豊かで華やかなイッピン!です。(文・学芸員 宮山)
田辺帯山 色絵花詰蝶図花瓶
サイズ:口径16.0/胴径24.0/底径13.0/高40.0cm
作者:田辺帯山
生没年:明治元年(1868)~昭和10年(1935)
制作年代:明治時代中期~大正時代
所蔵:|五彩館|
◆INFO
▽「能美市九谷焼瑞宝単光章展」
会場:|五彩館| 紫の間
期間:~3月9日(日)
▽「第48回伝統九谷焼工芸展」
会場:|五彩館| 紫の間・緑の間
期間:3月18日(火)~5月11日(日)
▽「第31回日本工芸会石川支部陶芸部展」
会場:|五彩館| 緑の間
期間:~3月16日(日) ※最終日は16時まで
▽新指定文化財(二代末川泉山作品2件)を常設展示室で展示中(|五彩館|)
※|五彩館|2階改修工事のため、「黄色の間」閉室
工事期間中(4月中旬までの予定)、一般入館料を団体割引(430円→370円)
情報発信元:KAM能美市九谷焼美術館|五彩館|
入館料:一般430円・75歳以上320円・高校生以下無料
※浅蔵五十吉記念館もあわせて入館できます。
問い合わせ:【電話】58-6100【FAX】58-6086 ※月曜休館