くらし JCHO-Column

■肝臓の病気について
JCHO福井勝山総合病院
大藤和也

肝臓はお腹の右上にある臓器で、重さは約1,000~1,500gと体の中で最も大きな臓器です。お肉屋さんで見かける赤色の「レバー」が肝臓にあたります。肝臓は、食事から得た栄養を体で使いやすい形に変える代謝、体に必要な物質の合成、アルコールや薬、体に有害な物質を分解・解毒するなど、生命を維持するために欠かせない重要な役割を担っています。
肝臓の働きが低下し、肝不全の状態になると、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、腹水、意識障害(肝性脳症)、食道や胃の静脈瘤などの合併症が現れることがあります。さらに病気が進行すると肝がんを発症することもあります。肝臓は一度大きく障害されると回復が難しく、重度の肝不全を救う方法は、現在の医療では肝移植しかありません。そのため、肝臓病は症状が出る前に見つけ、進行を防ぐことが何よりも大切です。
肝臓病の原因には、B型・C型肝炎ウイルスへの感染、過度の飲酒、肥満や糖尿病に関連する脂肪肝、薬剤の影響などがあります。これらの原因が長く続くと、慢性的な肝炎を経て肝硬変、さらには肝がんへと進行することがあります。近年では、肝炎ウイルスに対する効果の高い治療薬が普及し、ウイルス性肝炎による肝臓病は減少してきました。一方で、生活習慣の変化に伴い、脂肪肝による肝臓病は増加しています。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、多少悪くなっても自覚症状が出にくいのが特徴です。そのため、気づいたときには病気が進行していることも少なくありません。こうした背景から、日本では「奈良宣言」により、肝臓病の予防や早期発見の重要性が呼びかけられています。具体的には、健康診断等で肝機能検査のALT値が30を超えた場合には、医療機関を受診することが勧められています。
健康診断の結果をきっかけに、ALT値が30を超えた場合には早めにかかりつけ医へ相談し、大切な肝臓を守っていきましょう。