くらし 特集 人と人を繋ぐ「地域の案内人」 地域おこし協力隊 古田隊員の取り組み(1)
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- 発行日 :
- 自治体名 : 福井県南越前町
- 広報紙名 : 広報 南えちぜん 令和7年(2025年)12月号 No.252
地域おこし協力隊の古田隊員が着任し、まもなく一年半を迎えます。これまで古田隊員は、県外で開催される移住フェアなどに積極的に出向き、移住を考えている人、地域とゆるやかに関わりたい人など、相談者の生き方や希望に合わせてまちの魅力を伝えてきました。
今回、これまでの古田隊員の活動内容や、感じている南越前町の魅力をご紹介し、改めて〝わが町南越前町〟の誇れるところやほかにない良さをお伝えします。
■PROFILE
古田 崚
大阪府出身。高知県の大学を卒業後、東京にて建設コンサルタント企業に就職。その後、地元大阪に戻り、家具職人として勤務した後、縁あって南越前町に移住。2年間、宿泊業や農業に携わった後、昨年5月に南越前町地域おこし協力隊に着任。最近ハマっていることは、スマートフォンアプリを使った語学学習(英語)です。

※詳しくは本紙をご覧ください。
■古田隊員が地域の方々と共に歩む〝南越前町の魅力〟を紹介します。
▽最初に、南越前町に移住しようと思った決め手を教えて下さい。
大学を卒業して東京で働き始めた頃から、田舎暮らしに憧れを持っていました。東京で自宅と職場を行き来する日々を過ごしていた時、「やっぱり田舎の方が面白いことができそうだな」と考え、思い切って飛び込むことを決意しました。情報収集していた時に出会ったのが、今庄宿にある「地域まるっと体感宿 玉村屋」です。玉村屋に滞在した時に感じた「南越前町の空気感」が自分に合ったことが移住の決め手です。直感的な要素が大きかったですね。
▽日ごろどんな活動に取り組まれていますか。
まずは、町を知ることが一番だと思い、町内至るところへ足を運び、自分の目で確認することを意識してきました。訪れた先の情景は、インスタグラムにも投稿し発信してきました。
また、明治大学生が来町された際には、私が町の観光施設や名所をご案内しました。人にお伝えすることで改めて町の魅力を感じることもでき、勉強にもなりました。
直近では、南条小学校にゲストティーチャーとしてお招きいただき、都会での生活経験のある私が思う南条地区の魅力を子ども達に伝えさせていただきました。
▽不安はありませんでしたか。
私だけではなく、移住希望者のほとんどが移住先での「仕事」に不安を感じています。私も自分に合った職が見つかるだろうか、生活していけるだけの収入が得られるだろうか、大きな不安がありました。その不安を少しでも解消できるよう、地域おこし協力隊になり「仕事」をテーマにした移住促進、関係人口づくりに取り組むことにしました。
▽町内で魅力を感じた仕事を教えて下さい。
林業です。町の約92%を山林が占めており、高齢化や生活様式の変化から林業の人手不足を伺い、南条郡森林組合に話を聞きに行きました。
実際に山林に入り、林業の現場を見て感じたことは、思っていた以上に環境が充実していることでした。収入面の安定はもちろん、ドローンやGPSなどIT技術の活用や、仕事で習得した技術をDIYに活かせるなど、田舎暮らしを求める移住者にマッチしやすい職業だと感じています。
▽農業にも触れたそうですね。
これまで、花ハスの収穫や畑の手伝いに行きました。南越前町に来るまで花ハスをじっくり見たことも、野菜の成長過程を見たこともありませんでした。
お手伝いをしていて気づいたことがあります。物を作るといろんな人から声がかかるということです。「ホウレンソウの芽、出たか?」「これちょっと食べてみるか?」と、町内ではよくある光景かもしれません。
農業を通じて出会いが増え、新しい人との関わりが増えました。まさに、「人と人の助け合い」そのものが町内にあると私は考えています。
▽都会にはない南越前町の魅力とはなんでしょうか。
日常生活の中で人とのつながりを感じられることだと思います。
社会全体の潮流として効率化が進み、買い物一つを取ってもレジの無人化が進み、店員さんのいないスーパーが当たり前になりつつあります。町内には個人商店もスーパーも両方があり、時と場合によって選択ができる。選択肢があることが喜びだと思います。
▽どのように魅力を発信していますか。
東京都千代田区有楽町に公益社団法人ふるさと回帰・移住交流推進機構が運営する「ふるさと回帰支援センター・東京」があります。この施設は、全国の地方移住に関する情報を移住希望者へ発信している場所です。この場所で林業と暮らしをPRするイベントを企画・開催しました。
具体的には、町内の暮らしや林業について写真やトークセッションを交えて首都圏の方に紹介しました。また、町内産の間伐材をその場で削り、木の匂いを感じながらのコースター作りやつるし柿の実食など、五感で南越前町の暮らしをイメージできるよう工夫しました。
▽参加者の反応を教えて下さい。
南越前町の認知度はまだまだ高いとは言えません。しかし、道の駅や鉄道遺産などの観光名所、つるし柿や甘露梅肉などの特産品を紹介すると、「通ったことがあります」、「自分の店で紅梅液を使ってメニューを提供しています」と返答があり、これまでにも南越前町に触れたことがある人は潜在的にいるように思います。また、「良いところですね」、「一度行ってみたいです」と言う声も多く聞かれます。
▽最後に町民の方に一言お願いします。
人と接し、人とのつながりを感じ、人の温かさに触れる生活を送れることが、まさにこの町の魅力だと確信しています。
この魅力を発信しながら、町民の皆さまにも〝わが町の魅力〟や良さを実感し、自信や誇りをさらに感じていただけるよう、これからも活動を通じてお伝えしていきたいと思います。
