文化 ふるさとの誇り216 ○(まる)博レポート

■おでいにっちゃんは古墳の上に
市之瀬台地の先端、見晴らしの良い丘に「おでいにっちゃん」は坐っています。ここは上宮地地区で、伝嗣院の現在の境内から南東へ150m程離れた旧寺領内の地にあたり、今はほとんど使われていないかつての参道に面しています。
地元では「おでいにっちゃん」と呼ばれ親しまれているお像ですが、手の結び(印)から大日如来像であることがわかります。おそらく「大日様」を丁寧に呼ぶのに上に「お」をつけて、更に親しみを込めた形にくだけ、なまったものと思われます。
高さ約一・六m、幅約一・二mの石仏で主に三個の石で作られています。背面に「寶(宝の旧字)永歳」と銘が刻まれているので、江戸時代の宝永年間(一七〇四〜一七一一年)に造られたものと考えられます。宝永年間といえば大地震や富士山の噴火があった頃ですから、安寧を願って建てられたのかもしれません。伝嗣院の周辺にはその頃の石仏がほかにも残されています。
像は約二m×一・六mの台座の上に造られており、少しこんもりとした高まりの上にあることがわかります。実はこの高まりは古墳であると考えられています。墳丘はかなり削られ、石室が露呈している状態で、その石材を利用して台座にしているものと考えられます。つまり石室の上に建てられているのです。
見晴らしの良い市之瀬台地の先端には古墳がいくつも造られ、複数現存しますので、この古墳もその一つと考えられます。古墳が後の時代に信仰の場になることは珍しくなく、祠や石仏が建てられた古墳は県内にも多くあるのです。
王様目線の景観を眺めに、そしておでいにっちゃんに会いに訪れてみてはいかがでしょうか。
写真・文:文化財課
※画像など詳しくは本紙をご覧ください。

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