- 発行日 :
- 自治体名 : 山梨県南アルプス市
- 広報紙名 : 広報南アルプス 令和7年9月号 No.270
■国重要文化財指定30周年!!(1)
鋳物師屋(いもじや)遺跡のスターたち
令和7年は鋳物師屋(いもじや)遺跡の出土品が国の重要文化財に指定されてから30年となる節目の年です。
鋳物師屋遺跡は、平成4年2月から5年3月末にかけて櫛形工業団地造成に伴い発掘調査が行われ、縄文時代と平安時代の住居跡などが確認されました。調査では、多くの貴重な成果が得られ、全身が残る円錐形土偶(子宝の女神ラヴィ)の出土は全国的に注目されました。
縄文時代の竪穴住居跡から良好な状態で出土した資料は、当時の生活や精神文化を研究する上での学術的価値が高く評価され、平成7年には円錐形土偶や人体文様付有孔鍔付土器(ぴ〜す)を含む205点が重要文化財に指定されました。出土品は国内の展覧会以外に、海外の展覧会へもくり返し貸出しが行われ、日本の縄文ファンだけではなく世界の「JOMON」ファンからも関心を集めています。現在は日本遺産「星降る中部高地の縄文世界」の構成文化財にもなっています。
本号から数回にわたり、鋳物師屋遺跡と出土品の魅力をご紹介します。
(文 文化財課/写真 文化財課・小川忠博)
▽土偶装飾付土器(どぐうそうしょくつきどき)
土器と土偶が融合した全国的に貴重な土器で全国の縄文ファンを魅了するスター土器。土偶が大きく腕を広げて土器を抱え込み、縁から顔をのぞかせている。にこやかに笑うような大きく丸い目は、他の土偶とは異なり土偶装飾付土器特有の目の表現。臀部(お尻)下部には割れた様子が認められ、本来は脚を含めた全身像であったことがわかる。
▽2015年全国どぐキャラ総選挙 グランプリ
ミュージアムキャラクターアワード2016 第2位
円錐形土偶(えんすいけいどぐう)(愛称:子宝の女神ラヴィ)重要文化財
脚部が省略され円錐形の体を持つ「円錐形土偶」。
右手で腰を支え、左手は大きく膨らんだお腹に添えられ、これから生まれてくる子どもを慈しむ母の姿そのもの。大形の土偶で非常に丁寧に作られており、日本を代表する土偶。
▽縄文ドキドキ総選挙2021 投票数第1位!
人体文様付有孔鍔付土器(じんたいもんようつきゆうこうつばつきどき)(愛称:ぴ~す)重要文化財
有孔鍔付土器は縄文時代の中部高地(山梨・長野)を代表する土器の1種。土器の口縁部に小さな孔(あな)があけられ、鍔と呼ばれる出っ張りが付けられるのが特徴。
有孔鍔付土器の中でも大形で、貼り付けられた土偶の全体の様子が分かるなど、ラヴィと並び日本を代表する土器の一つ。中学校歴史教科書の表紙に登場したこともあります!
▽土偶 重要文化財
ハート形の顔面で釣りあがった目が表現される土偶の頭部。頭部全体は白色で装飾されている。小形ではあるが極めて丁寧な作りとなっている。
長野県茅野市棚畑遺跡から出土した国宝土偶「縄文のヴィーナス」のそっくりさん‼
■ふるさと文化伝承館 次回テーマ展示
重要文化財指定30周年記念「鋳物師屋遺跡の世界観とその仲間たち」
場所:ふるさと文化伝承館(木曜日休館)
期間:10月3日〜12月10日まで
鋳物師屋遺跡出土品未公開資料のほか、県内博物館所蔵の円錐形土偶や人体文様付有孔鍔付土器を展示します。鋳物師屋遺跡で暮らした人々の世界観を読み解いてみましょう!
詳細は本紙をご覧ください。