くらし 午(うま)年

令和8年は丙午(ひのえうま)。十二支の動物では「馬」が割り当てられています。

■働く動物
馬が初めて家畜にされたのは5,000年以上前のヨーロッパだといわれています。その後、馬は世界中で、人間の生活を支えるための「働く動物」として活躍してきました。人や荷物を遠くまで運んだり、田畑を耕したり、相手への贈り物とされたり、祭礼に欠かせない存在として登場したり、あるいは戦場で人間同士の戦いを支えたり…。馬偏がつく漢字は、「駅」や「駐(車場)」など現代でも重要な交通用語になっています。今は列車や車が行っていることを、馬は何千年もの間、担い続けてきたのです。
そのせいか、大河ドラマや時代劇など歴史ドラマや映画にはたいてい、馬が登場します。それら馬の多くはとても賢く、人に従順で、力強く人間の営みを支えています。そうした場面も馬への親近感を高めているのです。

■人との相性
そんな馬と人との関係を表現したことわざも多くあります。
馬と人の近さをいちばん表した言葉が「馬が合う」。馬とその乗り手の呼吸がぴったり合うという意味から、「あの人とは馬が合う」など、人と人との相性が良いこと、意気投合している様子をたとえて使われます。
似たような意味で使われるのは「人馬一体」。乗り手と馬が一つになったように、巧みに乗りこなすことのたとえ。「人馬一体となり野を駆ける」などと使われます。
相性の良さを表した言葉では、「馬には乗ってみよ人には添うてみよ」。馬のよしあしは実際に乗ってみなければ分からない。人も同じで、付き合ってみなければ、その人のことは分からないという意味から、外見だけでその馬や人のことを判断してはいけない、何事も自分で直接経験して確かめることが大切であるという教えです。
「塞翁(さいおう)が馬」は、中国の故事に由来するお話です。昔、辺境の塞とりでのそばに翁(老人)が住んでいましたが、飼っていた馬が逃げてしまいました。不幸な出来事でしたが、数カ月後、素晴らしい駿馬(しゅんめ)を連れて帰ってくるという幸運に恵まれました。しかし、その老人の息子がその馬に乗り落馬して足を折ってしまいました。とても不運でしたが、そのおかげで兵役を免れることができました。これらのことから、長い人生では楽しいこともあれば、悲しいこともある。何が幸せで何が不幸かはすぐに決まるものではないという教えです。

■鬣(たてがみ)をなびかせ さっそうと
「馬耳東風」は、馬の耳に風が当たっても馬は何の反応も示さないところから、人の話が耳に入っても全然心を動かさないことのたとえです。しかし実際は、馬は聴覚にも優れていて、耳の動きで馬の気持ちを知ることができるといわれています。
そして特徴的なのは、立派な鬣です。2026年も国内外でいろいろな動き、出来事が予想されることから、何事も馬耳東風とはいかないようです。しかし、そこは「人間万事塞翁が馬」。何が起きても動じずに、鬣をなびかせながらさっそうと、1年を駆け抜けていきたいものです。