くらし クマの被害に遭わないために 一人ひとりが取り組むこと

今月号は、クマについて市民の皆さまに知っていただくため、裏表紙を使い、クマに関する記事を掲載します。長野県クマ対策員の後藤さんにお話を伺いました。

長野県クマ対策員 後藤光章さん
■人とクマの距離をこれ以上縮めない
「昔はこんな所にクマは出なかったのに」という話を聞きます。要因はさまざまです。「クマの個体数増加に伴う分布の拡大」「山林の手入れが行き届かなくなったことによる人里との緩衝地帯の減少」「耕作放棄地などの増加に伴うクマの隠れ蓑となる藪などの増加」「狩猟者の減少」などが考えられます。
人里には柿や栗などの誘引物があり、人とクマとの距離をさらに縮めています。秋に飯山を見渡すと、山ぎわに収穫されずに実ったままの木が多数確認されます。数年に一度あるクマの大量出没の際に、人身事故が多発しないかと懸念しています。特に、飯山の地形は、山脈との間に千曲川が流れており、人間の存在と活動が喪失した場合、短期間で野生動物が市街地を闊歩する状況になるであろう事を想定しておいてください。
まずは、柿や栗などの誘引物を取り除くことが大切で、最善の方法は、集落から山ぎわにかけて点在する柿や栗の木を伐採し減らすことです。市民の皆さんだけでなく、飯山を訪れる誰もがクマの被害に遭わないために、人とクマの距離を縮めない取り組みを継続する必要があります。

■皆さんに心掛けていただきたい主な2つのこと
▽今後もクマの出没が考えられます
4月に常盤地区で出没したクマのケースは、玄関のガラスを破り、2階の部屋に侵入し、人を襲うというものでした。付近でクマが出没した際は、戸締りを行い、不要な外出を控えてください。
なお、緊急的な場合の対応について、飯山市から防災無線、メール配信サービスなどで皆さまにお知らせします。その指示に従うようにしてください。

・千曲川付近も注意!
千曲川がクマの通り道となっている場合もあります。山だけでなく、河川敷など千曲川周辺でもご注意ください。

▽柿の実や栗などを放置しない
クマは一度覚えた餌場に執着します。「木にある果実をそのままにする」「規格外で廃棄する果実を山に捨てる」などの行為は、クマに人間の食べ物の味を覚えさせる機会をつくることになります。また、クマには「なわばり」がないため、良好なエサ場には複数のクマが集まる可能性があります。クマが人里周辺に出没するようになり、クマと人間がバッタリ鉢合わせし、人身被害を生むことのないよう、人里周辺にある柿や栗などの収穫、木へのトタン巻き、木の伐採など対策をしてください。
飯山市の補助金あります!↓

《補助金》
■柿や栗の木などのトタン巻き・伐採を支援
クマを集落等へおびき寄せる恐れのある柿・栗などの樹木伐採等の費用に対し市が補助(要件あり)
対象:個人または集落等
補助率:対象事業費の1/2以内
限度額:
・伐採費 3万円/1本(最大5本まで)
・トタン等資材 3万円

お問い合わせ:森林農地整備課 鳥獣対策係
【電話】0269-67-0724

■クマに襲われたときの防御姿勢の紹介
クマに襲われた場合、致命傷を避けるための防御姿勢として、地面に伏せ、両手で首にある頸動脈をガードするなど、本紙掲載の写真のように腹、首、頭の急所を守り静止するものがあります。この防御姿勢は、研究や経験から有効であると言われています。
なお、クマと遭遇しやすい山菜採りなどに出かける際は、クマ鈴やクマ撃退スプレーを携帯するほか、頭を守るためヘルメットを着用することをおすすめします。なお、クマ撃退スプレーは説明書を必ずご確認ください。
・手を組んで首の頸動脈をガード
・クマ撃退スプレーは説明書を必ず確認し、リュックなどに入れず、すぐに取り出せる場所に、すぐに取り出せるよう携帯してくださいね。クマがいそうな場所にはヘルメットを着用し頭を守ることをおすすめします。
・クマ撃退スプレーはすぐ取り出せる場所に
・クマがいそうな場所にはヘルメットも

■クマを知って被害を防ぐ
環境省では「豊かな森の生活者 クマと共存するために」と題したパンフレットを発行しており、クマの年間を通じた行動パターンや食べ物、クマの特徴などが記載されていますので、ご参照いただき、クマからの被害を防ぐための参考としてください。