- 発行日 :
- 自治体名 : 長野県飯山市
- 広報紙名 : 広報飯山 令和7年11月号
瑞穂地区 志田 吉隆
■大事な決断
今から十年前にこれまでの人生の中でも、とても大事な二つの決断をしました。一つは生まれてからずっと当たり前のように暮らしてきた東京から、運命的なご縁で繋がった飯山の小菅に移住すること。もう一つは修験道の実践者である山伏として生きていくことです。おかげさまで、この十年はジェットコースターにでも乗っているようなスピード感でした。本当に驚いています。そしてその滑走感は今でも続いています。
移住してすぐに飯山市の地域おこし協力隊員として農産物のマーケティングや若手農業者の活動支援、観光振興の仕事をさせていただきました。まさか行政の仕事を手伝うことになると思っていませんでしたが、さまざまな形で地域の方々とお付き合いできたことで視野がグッと広がりました。この時期にできた繋がりは得難いものばかりです。今は外国の方に山伏修行体験をしてもらったり、東京の大学と連携して里山での体験学習を企画したりしています。
私生活では結婚して、子どもが生まれました。嫁は富山の町っ子です。慣れない里山の暮らしをなんだかんだ言いながらも一緒に楽しんでいます。リアルな生活は全然スローライフではありませんが、この環境の中で子どもを育てられることに感謝しています。都会にはない本当の豊さがこの地域にはあると思っています。
■豊かな営みを未来へ
小菅は風景の国宝と言える「重要文化的景観」に選定されています。素晴らしいことは集落に残された修験道の歴史的建造物群だけではなく人々の営みが積み重なってできた文化そのものだと思います。時代の変化を受け入れ、豊かな営みを未来に繋げることがその時代を生きる人々のお役目のようなものなのかもしれません。私もそのお役目に少しでも貢献できるように生きていきたいと思います。
■筆者紹介
東京で芸能、飲食関係の仕事を経て飯山市小菅集落に移住。飯山市地域おこし協力隊員を経て小菅の古民家宿泊施設「七星庵」の運営会社を仲間と設立。小菅の休耕田を再生して文化的景観を維持、活用する事業を進めている。小菅・北竜湖観光協会理事。小菅山山伏修行先達。出羽三山信濃講講主。
