くらし [特集]地域福祉シリーズ 安心と笑顔をつなぐ民生児童委員~民生児童委員の活動~(1)

住み慣れた地域で安心して生活できるよう、高齢者などに寄り添って困り事を把握し、必要な窓口へのつなぎ役をする民生児童委員。今回は、地域と連携した特色ある活動を行う高出二区の民生児童委員や地域の取り組みをお伝えします。

◆民生児童委員の活動は「見守り」「相談役」「つなぎ役」の三つ
民生委員・児童委員(民生児童委員)は、厚生労働大臣から委嘱された非常勤特別職の地方公務員です。3年を1期とし、現在、本市では146人の民生児童委員が活動しています。
民生児童委員の主な活動は三つです。一つ目は、高齢者や障がいのある人、子育て家庭などの「見守り」。二つ目は、地域の人の困り事の「相談役」。そして三つ目は、行政や関係機関への「つなぎ役」としての役割があり、担当する地域で活動しています。民生児童委員には守秘義務が課せられますので、相談内容や個人の秘密が他に漏れることはなく、安心してご相談できます。
また、本市には主任児童委員が14人配置されており、児童に関する相談や支援を専門的に担当し、民生児童委員と連携しながら活動を行っています。
民生児童委員には、地域の困り事をすべて対応してくれるというイメージがありますが、雪かきや買い物支援などは民生児童委員の活動ではありません。
次のページからは、地域と連携して活動する高出二区の民生児童委員の活動や、連携する地域の人の思いを紹介していきます。

◆民生児童委員の活動○×
○見守り:地域の高齢者などを気にかけ、必要に応じて訪問などをします。
○相談役:見守り活動の中で、生活での困り事などを聞きます。
○つなぎ役:相談を受けた困り事などを解決するため、行政などにつなぎます。
×日用品などの買い物:買い物など日常生活の支援は、民生児童委員の活動ではありません。
×雪かき:家の周りや屋根の雪かきは、民生児童委員の活動ではありません。

◆Interview 民生児童委員×高校生
民生児童委員の活動に力を入れ、やりがいを感じている樋口万理子さん。活動の一つである「見守り活動」を体験した東京都市大学塩尻高校の生徒が、樋口さんにインタビュー。活動への思いなどを聞きました。
民生児童委員:高出地区地区会長 樋口万理子さん
東京都市大学塩尻高校3年生:砂田洸志さん・林彩音さん

◇自分の得意な「人と話すこと」が、今の活動に生きている
砂田さん:樋口さんが民生児童委員になるまでの略歴を教えてください。
樋口さん:大学卒業後、松本市にある会計事務所に就職し、3年勤めました。その後、コンクリート会社の営業事務に転職。朝から晩まで毎日、一人で電話を受けていました。人と話すことは自分に向いていると気付きました。そのことが民生児童委員の活動に生きていますね。
高出二区の役員を担っている中で、民生児童委員と協力して活動する福祉協力員になりました。福祉協力員として活動してすぐに魅力のある楽しい活動だと思い、9年間活動しました。
林さん:その後、民生児童委員になったきっかけを教えてください。
樋口さん:福祉協力員の活動をしている時に、前任の民生児童委員から打診されました。家族から意見を聞き、賛否どちらの意見もありましたが、私の性格を理解して最終的に背中を押してくれたことで、民生児童委員になることに決めました。気付いたら民生児童委員として12年目になっており、福祉協力員時代から合わせると21年。地域の人の温かさを感じています。

◇一人で抱え込まないことと、地域でつながることが大切
砂田さん:活動する時はどんなことを心掛けていますか。
樋口さん:地域の人とつながることを心掛けています。接する人の話をしっかり聞いてから、話をするようにしています。訪問などで聞いた話で橋渡しが必要になりそうなものは、地区の他の役員らと連携していくことが大切。問題などを一人で抱え込むことがないよう、日ごろからの関係づくりを意識しています。
また、見守り活動の時は明るい服装にしたり、日常の楽しい話や明るい話題を話したりすることで、高齢の方に少しでも明るい気持ちになっていただけるようにしています。

◇関わった人からの「ありがとう」が民生児童委員のやりがい
林さん:樋口さんが思う民生児童委員のやりがいは何ですか。
樋口さん:関わった人から「ありがとう」と言っていただけることです。頼ってもらえていると実感しますね。
他にも、地域の人と接することはとても魅力的で、いろいろな人とさまざまな話をすると、自分が知らなかったことを知ることができます。多くの人と仲良くなれることを楽しみながら活動しています。
砂田さん:今回は見守り活動を体験させていただきましたが、他にも地域のためにしている活動はありますか。
樋口さん:高出二区では住民の困り事を解決することを目的とした「支え合い委員会」があります。災害時はもちろん、普段からささいな困り事を聞き、地区が一つになり助け合えるよう活動しています。この活動は今後も続けていきたいです。