くらし 「輝く恵那人」249人目

■100年の伝統を未来につなぐ 地域が誇る健康食品
山岡細寒天市内で細寒天製造が始まって本年で100年。5月に行われた第70回県寒天展示品評会で、(株)丸三寒天冷凍部の三浦仁憲さんが農林水産大臣賞を受賞した。冬の厳しい寒さと晴天の多さを生かし、細寒天の生産量日本一を誇る山岡町の伝統を未来へとつなぐため、毎日早朝から細寒天作りに励んでいる。
三浦さんは短大卒業後、医療事務職に従事。26歳で結婚などを機に家業の細寒天製造を継ぐことを決意した。現在は8人の従業員と共に、厳選した天草(※1)を使い、質の高い細寒天を作り続けている。天草を独自に配合した細寒天は、先代から学んだ技術と日々の試行錯誤のたまものである。「自然相手の仕事は一筋縄ではいかないが、その難しさが面白い」と細寒天作りの魅力を語る。
本年、努力が実り、農林水産大臣賞を受賞した三浦さん。「昨年は寒い日が続き細寒天作りには好条件だったが現場は大変だった。従業員全員の頑張りが認められてうれしい」と笑顔で振り返る。
天草不足と担い手不足が深刻な細寒天製造業。令和元年に450トンあった天草の収穫量は本年210トンに半減。最盛期に129軒あった製造業者は7軒にまで激減している。三浦さんは「伝統を大切にしつつ革新を起こさなければ山岡細寒天は失われる」と、本来難しいとされているマクサ(※2)の養殖を、海藻の養殖を行う会社に依頼している。また、子どもたちに細寒天の魅力を伝えるため、工場見学の受け入れや学校給食への提供も行う。
「細寒天は食物繊維が豊富な食品。糖尿病予防や肥満改善、がん予防に効果があるとされている。恵那の自然が育む山岡細寒天を多くの人に知ってもらいたい」と話す三浦さん。市が誇る山岡細寒天を未来につなぐため、自然と向き合いながら伝統を守り続ける。
※1ところてんや寒天の原料になる海藻の総称
※2天草の種類の一つ。細寒天には主にマクサが使われる

◆三浦仁(ひとのり)さん(47歳)(山岡町下手向)
□プロフィル
(株)丸三寒天冷凍部の3代目。本年5月に行われた第70回県寒天展示品評会で、最高位の農林水産大臣賞を受賞した。
仕事終わりにYouTube(ユーチューブ)などを見ながら芋焼酎を飲むのが日々のご褒美。40代から健康に気を付けるようになり、ザクロジュースと豆乳が、お薦めだとほほ笑む。