文化 未来に繋(つな)ぐ みのかもの70年 第16回
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- 発行日 :
- 自治体名 : 岐阜県美濃加茂市
- 広報紙名 : 広報minokamo 令和7年8月号
■ゲンジボタルの保護活動と「ほたるコンサート」
毎年6月になると、三和町の廿屋(つづや)川と川浦川では、ゲンジボタルが飛び交う幻想的な光景が見ることができます。しかし、昭和43年8月に起きた集中豪雨による河川の氾濫や護岸工事などの影響から、一時期にホタルの乱舞が見られなくなりました。
昭和46年、絶滅を防ぐために三和のゲンジボタルは市の天然記念物に指定されますが、それでも減数傾向は続き、危機感を抱いた三和の人々は保護活動に乗り出します。小学校ではホタルの飼育研究、青年団は乱獲パトロール、自治会員は定期的な清掃活動を開始します。昭和60年には、三和小学校の児童によるホタルの幼虫の放流を開始し、この活動は今も続いています。平成元年には「三和の源氏ボタルを守る会」が発足し、三和連絡所に事務所が置かれました。こうした住民の努力によってホタルの乱舞はよみがえり、三和は「ホタルの里」として親しまれています。
同じ年、美濃加茂市商工会青年部が市制35周年記念事業として「ほたるコンサート」を企画します。趣意書には、経済発展がもたらす物の豊かさと引き換えに置き忘れてしまう心の優しさやゆとり、自然と人との関わりに目を向け、音楽を通じて自然と故郷を愛する心を育て、市の文化向上の一助になれば、という願いが記されています。
6月25日、三和小学校で「ほたると、人と、音楽と」をテーマに、ほたるコンサートが開かれ、ホタルをテーマにした美濃加茂少年少女合唱団による童謡や、三和小学校全児童による歌と劇、加茂郡東白川村出身のシンセサイザー奏者の藤掛廣幸(ふじかけひろゆき)さんと二人の声楽家による演奏が行われました。市内外から1,700人が来場し、好評を博しました。ほたるコンサートは翌年、商工会青年部25周年事業としても開催され、以後三和小学校創立100周年となる平成21年まで20回続けられました。
◆[Pick Up]「三和小学校の保護活動」
昭和63年、三和小学校にホタルの研究室や飼育舎が設置されます。児童は幼虫を育てて放流したり、餌となる巻貝のカワニナの飼育方法を学んだり、ホタル委員会で新聞を発行したりするなどさまざまな保護活動を展開しました。
写真は平成2年に行われた幼虫放流の様子です。前年までは児童だけで行いましたが、父母や守る会の大人も参加しました。地域ぐるみで取り組む姿が伝わります。
問合せ:みのかも文化の森/美濃加茂市民ミュージアム
【電話】28-1110